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年末調整後の精算と会計処理を税理士が解説!


年末調整後の精算方法を解説

年末調整の精算方法は還付の場合に2つの方法が

考えられます。

 

徴収になった場合には、天引き額が増えるだけなので

処理方法の考え方が分かれることはないです。

 

方法の説明前に一点だけ申し上げます。

 

還付、徴収のどちらにも言えますが

年末調整の精算は12月分の支給給与と

1月分の支給給与のどちらで行っても

良いことになっています。

 

さて、精算方法を解説します。

 

方法1:相殺しない方法

相殺しない方法とは、年末調整の精算をするときの

支給給与の源泉所得税と年末調整の還付額を相殺しないで

別個に考える方法です。

 

例えば、12月分の支給給与で精算する場合に

12月分の支給給与の源泉所得税が30,000円

年末調整での還付額が50,000円だとしたら

 

源泉所得税30,000円を預かって

還付額50,000円を返金する考え方です。

 

それぞれ別個に行っているので

相殺しない方法となります。

 

方法2:相殺する方法

こちらは上記の金額を相殺する考え方です。

12月分の支給給与の源泉所得税は30,000円

還付額が50,000円で差額20,000円を返す

という考え方となります。

 

上記の方法が出てくる理由は

年末調整の会計処理のときに現れます。

 

支給金額については相殺しない方法と

相殺する方法のどちらを使っていても

支給金額が変わることはありません。

 

 

 

 

年末調整の会計処理を解説

年末調整の会計処理は次のようになります。

前提として次のようにしておきます。

 

月給30万円、源泉所得税3万円、年末調整還付額5万円

処理の説明なので社会保険、住民税は除外します。

 

 

方法1:相殺しない場合

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
給料手当300,000円普通預金320,000円
預り金30,000円
預り金50,000円

 

 

方法2:相殺する場合

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
給料手当300,000円普通預金320,000円
預り金20,000円

 

 

上記のとおり、相殺しない方法と相殺する方法で

会計処理が異なります。

しかし、支給額に変動はありません。

 

私のおすすめの方法は相殺しない方法です。

年末調整するソフトの設定も相殺しないように

設定しておくと良いです。

 

相殺しない方法をおすすめする理由は

経理担当者の皆さんは難しく考えがちだからです。

 

上記の処理例だと社会保険と住民税を除外して

示しているので簡単なように思います。

 

また、調整する人は1人であまり考えなくても

こんなものかと思うことができます。

 

実務上だと、年末調整ソフトが先にあって

相殺する方法で年末調整の還付額が表示され

さらに社会保険、住民税の源泉控除があり

従業員が何人もいます。

 

こうなると人ごとに相殺した後の金額を計算して

それを会計処理に落とし込むことになります。

 

加えて、会計処理をする手間を省きたいので

支給する人ごとに分けないで全部をいっぺんに

処理するといったこともしがちです。

 

こうなると何が何だか分からなくなり

考えに考えて良くわからないことになります。

 

基本的には振替伝票の画面で会計処理を行うので

貸借の金額が一致しませんと処理を登録することもできません。

 

最終的に途方に暮れてどうやったら良いのか

分からなくなるパターンに入ってしまいます。

 

思考の迷路にはまってしまうわけです。

 

この様なことから相殺しない方法で考えて

会計処理をする方が分かりやすいです。

 

 

 

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