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恒久的施設とはどのようなものか?


恒久的施設の分類とは?

恒久的施設という用語は、一般にPEと言われます。

PEとはPermanent Establishmentの略称で、次の3つに分類できます。

 

1.支店、出張所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫、

鉱山・採石場等天然資源を採取する場所。

ただし、資産を購入したり、保管したりする用途のみに

使われる場所は含みません。

 

2.建設、据付け、組立等の建設作業等のための役務提供で、

1年を超えて行うもの

 

3.外国法人のためにその事業に関し契約を結ぶ権限のある者で、

常にその権限を行使する者や在庫商品を保有しその出入庫管理を

代理で行う者、あるいは注文を受けるための代理人等(代理人等が、

その事業に関わる業務を外国法人に対して独立して行い、かつ、

通常の方法により行う場合の代理人等を除きます。)

 

日本国内に恒久的施設を有するかどうかを判定するにあたっては、

形式的に行うのではなく機能的な側面を重視して判定することになります。

 

例えば、事業活動の拠点となっているホテルの一室は、恒久的施設に該当しますが、

単なる製品の貯蔵庫は恒久的施設に該当しないことになります。

 

参考サイト

No.2882 恒久的施設(PE)(平成29年分以降)

 

 

恒久的施設の定義における注意点

恒久的施設の判断にあたっては、上記の通りなのですが、

実際の判定としては、国内法→租税条約という判断となります。

 

ですから国内法だけで完結するものではなく、

日本と各国との租税条約がどうなっているのかも

確認して、最終判断をしなくてはなりません。

 

例えば、国内法において建設作業等は1年を超えて

行わなければ恒久的施設とはなりませんが、

条約によっては、6か月を超えて行われている場合に

恒久的施設となる場合もあります。

 

国際税務に関しては、必ず、国内法→租税条約という

流れで、法律関係を確認する必要があります。

 

(法人税法2条12号の19、法人税法施行令4条の4、
日本と各国の租税条約)

 

 

 

ワンポイントアドバイス!

実務上の判断ミスがあるのは、いわゆる独立代理人と

しての機能しか持っていなかったとしても、機能的に

どういった業務をしているのか判断しなければならない点です。

 

私が担当した案件で、後で発覚したのが、日本の顧客と間で

覚書の更新を独立代理人業務としていた外国法人が業務として

やっていたことがありました。

 

その外国法人が申告をするようになって色々担当者に

ヒアリングをしてみたところ、覚書を更新している

事実に直面したということです。

 

このように、外国法人の設置時点では独立代理人業務として

の機能しか持っていない外国法人だったとしても、後に、

どういった機能的な役割があるのかを確認していくことが

必要となってきます。

 

この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき

書かれています。法令に改正があった場合には、現在の

取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。