日本から海外への支払は源泉所得税と租税条約を確認すべし
日本から海外への支払は源泉所得税の対象
日本から海外への支払がある場合には源泉所得税の対象と
なるのかどうかを確認しておくことが大切です。
全てにおいて源泉所得税の対象となるわけではないのですが
以下のように源泉所得税の対象は決まっています。
現行法令上では(1)~(14)まであります。
海外の支払がある会社はどれに当たるのかを判断して
源泉徴収をしなければならない取引であれば源泉徴収します。
源泉徴収を行っていない場合には税務署から取引の照会が
入ることがあります。
税務署から照会が来る経緯としては銀行からの支払調書が
考えられます。
海外送金が100万円を超える場合には銀行は税務署へ
支払調書という資料を提出することになっています。
税務署としては支払調書の内容と過去の納税データから
源泉所得税の対象と思われる送金に対してお尋ねを
会社へ発送して回答をすることを依頼します。
因みに、お尋ねを無視していると最終的には
税務調査に移行することがありますので
回答を行うほうが調査リスク軽減になると考えます。
租税条約の適用を確認する
海外の支払で源泉徴収の対象となる支払については
送金する国と日本との租税条約を確認することになります。
租税条約とは日本と外国との税金の取決めの条約です。
ですから国内法に優先して適用を行うことになります。
租税条約の適用が起こるとどうなるのかというと
源泉徴収する税率を減免又は免除になります。
減免では、源泉徴収税率が20.42%のところ10%になる措置です。
免除とは源泉徴収が必要なくなる措置となります。
適用をするときには支払をする前に租税条約の届出書を
所得の区分に応じた書式で作成して会社の管轄の税務署へ
提出することになります。
現行法令上では支払った後に提出しても問題はない
ということになっています。
また租税条約の届出書を出さないと租税条約の適用ができない
といった適用要件にはなっていません。
実務上の手続きとして適用を受けましたという報告を
税務署に行っている手続きになります。
源泉徴収しなかった場合にどうするのか?
法律論として源泉徴収すべき取引で源泉徴収しなかった場合には
2つの方法を考えることができます。
1.支払った相手から源泉徴収分を戻してもらって納付
2.グロスアップして自社で負担する
いずれの方法と取るにせよ気が付いた場合には
早めに納付をした方が良いです。
租税条約の適用をしたとしても支払額の10%は
支払うことになります。
後で支払うと罰金が付いてきます。
・不納付加算税
・延滞税
この2つの罰金です。
現行法令上、不納付加算税は1度目は課税を留保されますが
2回目以降は課税されてきます。
不納付加算税の税率は、自主的な納付では納付すべき源泉所得税の
5%相当額となります。
延滞税は支払遅延による罰金となりますので
遅れれば遅れるほど増えていく罰金となります。
このような状況を回避するためにも
基本的には海外との取引であれば契約書を交わすことになります。
その時に税金条項を導入している中小企業はまれです。
海外との取引では税金条項があるのかを確認して
なければ導入する契約書を再度締結することをお勧めします。
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この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき
書かれています。法令に改正があった場合には、現在の
取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。
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