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建設業の会計実務と仕掛品評価の実務


建設業の会計実務

建設業の会計実務では会計処理を行う前に

使用する財務諸表を決めることになります。

 

使用する財務諸表としては

貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書となります。

 

このうち損益計算書と製造原価報告書の違いは

損益計算書は会社の維持に必要な経費を計上し

製造原価報告書は現場の経費を計上します。

 

ですから経費について現場の経費と会社の維持の経費を

分ける必要があります。

 

経費で分けることが簡単な経費と難しい経費があります。

 

分けることが簡単な経費は

現場で使う材料、外注、消耗工具、車両費

置き場の地代といったものだと思います。

 

分けることが難しい経費は

交際費、会議費などどいった接待や打合せなどの

飲食代関係だと思います。

 

要するにどれだけ売上に貢献した経費なのか

判別が難しいわけですから分けることが難しいのです。

 

この点、割り切りも必要であると思います。

 

売上に直結しているのか分からないであれば

現場の経費ではないという判断です。

 

つまり、現場がなかったとしても発生する経費は

製造原価報告書に計上しないということです。

 

それと勘違いしてほしくないことは

現場がないのに発生する経費は事業経費では

ないのではないか?という疑問です。

 

会社は経済活動行っていく人の集まりですから

今後の仕事を取ってくるために接待、打合せはあります。

 

ですから、売上が無くとも事業経費は存在します。

 

 

仕掛品評価の実務

建設業で最も悩ましい問題としては仕掛品の評価です。

 

建設業で仕掛品となるのは完成工事基準を

前提に考えると未だ完成して納品引渡していない現場に

かかった経費となります。

 

実務上では2つの仕掛品の評価方法があります。

①その会計期間中に完成した工事の平均原価で評価する方法

②工事台帳を作成して現場ごとに金額を計算する方法

 

規模が小さい場合には①、規模が大きくなってきたら②へ

移行することが望ましいです。

 

それぞれやり方を解説していきます。

 

平均原価で評価する方法

①その会計期間で完成した現場ごとの受注金額とかかった原価を

現場ごとに計算します。

 

②そのあとに、その会計期間で着手していて未完成と

なっている現場の受注金額を現場ごとに計算します。

 

③①で各現場ごとの原価率を計算してすべての原価率を足した

合計額を完成した現場の数で割って平均原価を計算します。

 

④②の受注金額をすべて合計した金額に③を乗じて

期末仕掛品の評価を行います。

 

この方法では売上高にそのまま原価率を乗じて

原価の金額を決定してしまうため直接費と間接費

という概念は出てこないことが特徴です。

 

 

工事台帳を作成して評価する方法

工事台帳は大きい、小さいに関係なく受注したすべての工事で

工事台帳を作成することになります。

 

管理する金額は直接費となる項目が一般的です。

本当は現場ごとに共通経費を配賦して原価を計算する

といったことをするのが筋なのですが・・・

 

中小企業だとそこまで原価管理に時間と人的資源、コストを

かけることができないのが現実です。

 

直接人は材料費、外注費、人件費とやれて車両費くらいだと

思われますね。

 

これらは会社内部ではどの現場にいくらかかったのかが明確に

判断することができる経費だからです。

 

逆にどの現場にいくらかかかったのか

分けることができない経費は工事台帳に書かず

管理を行わない方が良いかと思います。

 

決算日になると工事台帳から未完成となった工事を

抽出することになります。

 

工事台帳では未完成の現場に対する直接費のみが

合計額で計算することができます。

 

このため共通経費は製造原価報告書に計上されている

科目の金額に合理的な割合を乗じて共通経費のうち

仕掛品となる部分を特定し計算します。

 

共通経費となる科目は工事台帳で載せなかった

科目となります。

 

合理的な割合としては未完成の工事の平均原価

前受金÷その会計期間の売上高の割合など

色々と考えることができます。

 

合理的とは要するに恣意性がないと

読み替えてください。

 

ですから納付税金を少なくしたいから

毎年合理的な割合のうち割合が小さくなる割合を

使って共通経費の仕掛品部分を計算する

といったことはできません。

 

一度決めたら3年間は継続適用することが

望ましいと考えています。

 

 

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