個人事業から法人成りした場合の個人事業の廃業手続き
個人事業から法人成りって?
個人事業から法人成りとは、個人事業を廃止して法人に
事業を移して事業を継続することを言います。
ある程度の個人事業の収入(所得税では事業所得と言います)が
ある場合には、当然、法人成りを検討することになります。
具体的にどういったものが有利不利になるのかを
見ていきますと大体次の表になると思います。
項目 | 個人事業 | 法人 | 有利不利 |
法人・所得税率 | 所得税は7段階で所得税と住民税税率合わせて15%~55%まで | 法人実効税率は29.97%※ | 所得が高くなると法人が有利 |
事業税率他 | 290万円の事業主控除+税率5% | 事業主控除なしで、9.6%(一定の軽減税率がある) | 個人事業が有利 |
事業主収入 | 事業所得になる 経費の制約が多い | 役員報酬として給与所得控除がある | 法人が有利 |
交際費 | 事業遂行上のものであれば制限なし | 年800万円までの制限あり | 個人事業が有利 |
※参考資料
デトロイト トーマツ税理士法人 平成29年3月決算における税務上の留意事項より
(所得税法89条、地方税法35条、同法72条の49の13、同法72条の49の17、
同法314条の3、租税特別措置法68条の66)
個人事業の廃業の手続きとは?
個人事業から法人成りするときは、通常、個人事業を廃止します。
その廃止の手続きと注意点は次の通りです。
1.廃業届出書を廃業の日から1カ月以内に税務署へ提出
2.個人事業を廃止した年分の確定申告は必要になる
3.個人事業税を廃止した年分の必要経費にする
4.源泉所得税の納期の特例をしている場合には廃業した月の
翌月10日までに源泉所得税を納付する
5.所得税の中間申告がある場合には、一定の期間内に減額申請を
行っておくこと
参考サイト
(所得税法63条、同法111条~112条、同法229条、
所得税法施行令79条、所得税法基本通達37-7)
ワンポイントアドバイス!
個人事業から法人成りすると、結構な確率で税務調査があります。
税務調査の内容として見てくるのは、個人事業から法人へ
資産を移した場合の金額はいくらか?といったものです。
また、個人事業だとどうしても帳簿がしっかりしていない
イメージがあるらしく、帳簿を見てくる調査官もいますね。
法人成りすると全部に税務調査が来るとは限りません。
しかし、法人成りするということは、
それだけ収益が上がっているということです。
税務調査で指摘されないためにも、帳簿はしっかり
つけていくことをお勧め致します。
この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき
書かれています。法令に改正があった場合には、現在の
取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。