貿易業における消費税の届出書と損益計算の留意点
貿易業は消費税の届出書に注意する
設立当初は何もしないと消費税の免税事業者となる
貿易業は基本的に輸出を前提とした取引となります。
結果として、日本国内から海外への輸出となりますで
国内で支払った消費税は還付、外国への輸出には消費税はかかりません。
消費税の申告では支払った消費税が帰ってくることになります。
この点、新しく創業した会社では消費税の届出書に
注意点が出てきます。
まず、創業時点では期首の資本金が1,000万円未満であること
一定の日本国内での売上がある法人に支配されていることがなければ
原則的に、設立1期目、2期目は消費税の課税事業者にはなりません。
従って、消費税についてなんの手続もしないことになると
消費税の申告ができません。
結論としては、消費税の還付申告によって
消費税が還付されるにもかかわらず
消費税を還付してもらう申告ができないことになります。
以上のことから、設立1期目から消費税の課税事業者となる
特例制度が設けられており、そのための手続として
「課税事業者選択届出書」を提出して設立1期目から
消費税の課税事業者となる手続を行います。
課税事業者選択届出書の手続
課税事業者選択届出書は、次のように手続きを行います。
提出先:納税地を管轄する税務署へ提出
提出期限
(原則)課税事業者となる課税期間開始の日の前日
(例外)事業を開始した日の属する課税期間の末日
ということになっているので
提出先は事業場の住所地を管轄する税務署へ提出します。
提出する期限は、設立1期目の決算日までとなります。
実務上で間違えやすいことは
提出する届出書です。
課税事業者選択届出書と間違えやすい届出書は
課税事業者届出書です。
課税事業者届出書は、消費税の課税事業者となりました
ということを税務署へ届出る書類です。
免税事業者なのだけれど、課税事業者となります
という届出書ではない点に注意が必要なのです。
必ず、提出する書類の名前を確認することになります。
貿易業の損益計算の留意点
貿易業では損益計算についても留意が必要です。
基本的に、貿易業を行う場合で、消費税の還付を前提した
儲けの出ない取引を行うことがあります。
例えば、こんな場合です。
仕入金額1,100,000円の機械を海外へ輸出する場合に
売上の請求を仕入金額と同じ1,100,000円とします。
しかし、これだと100,000円の利益ができることが
イメージできるでしょうか?
損益計算では次のように計算することになります。
売上高(収入)の計上額:1,100,000円
仕入高(原価)の計上額:1,000,000円
結論として、1,100,000円ー1,000,000円=100,000円
ということになります。
因みに、上記だけの取引が行われたとして
還付されてくる消費税は100,000円となります。
収支計算上だと
売上の入金:1,100,000円
仕入の支払:1,100,000円
還付の入金:100,000円
収支計算の結果:1,100,000円ー1,100,000円+100,000円=100,000円
ということになります。
この様に、還付されている消費税をあてにした貿易業をすると
還付金に税金が課されているといったイメージになると思いますが
会社としては損はしていなくて、黒字であることになります。
利益100,000円に対して、法人税の税率は約30%ですから
手許には70,000円が残るというようなイメージです。
もし上記の様な税金の課税対象としたくない
ということであれば、次のような取引金額とします。
売上の請求金額を1,000,000円とするのです。
こうすることで損益計算上では、利益はゼロになり
還付されてくる消費税の100,000円が手許に残る
ということになります。
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