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社長の配偶者に給与を支給する場合の注意点とは?


社長の配偶者に給与を支給できるのか?

社長の配偶者に給与を支給することができるのか

というと、結論としてはできます。

法人・個人問わず、節税の一環として広く行われていると思います。

 

個人では、専従者給与として、法人では通常の給料としての処理です。

しかし、実体としては、税理士がこのような方法を提案したり、

見つけたとしても税法上、不利益を被らないようにアドバイスを

しているのかは、税理士によるところがあります。

 

会計では、確かに、お金を渡して給料という処理を行えば、

給料という経費になります。

しかし、税法上では、課税の公平性を担保にしてなぜか、

本当に働いているのかどうか、給料としての金額は適正なのかを

確認されることがあります。

 

具体的には、税務調査において、

・勤務実態を調べられる

・給料の計算方式を確認される

・なんの仕事をしているか確認される

といったことが起こるわけです。

 

(所得税法57条、法人税法36条、法人税法施行令72条、同条の2)

 

節税目的が多い支給では否認される

税務調査では、基本的に節税目的だけだと勤務実態等がないとして

否認される可能性があります。

給料を支給するということは、それ相当の労働性を説明できるように

しておく必要があります。

 

具体的には、

・タイムカードがあるかどうか

・勤怠表をつけているかどうか

・日報をつけているかどうか

といった資料が当然のごとく必要になってくるものと考えます。

 

実際には、タイムカードと勤怠表までしか作成できないと

私は考えています。

日報については、従業員でもつけていない場合もありますので

会社ごとに違いは出るからです。

 

 

 

ワンポイントアドバイス!

税法上、社長の配偶者へ給料を支給した場合に、なぜ確認されるのか?というと、

夫婦は一体という考え方があります。

つまり、夫婦は一体なので、社長が経営しているのであれば、

配偶者も経営に従事しているでしょ?ということです。

 

また、税法上で役員のような取り扱いを行う人に特殊関係使用人という立場の存在がいます。

要するに、役員と近しい立場の存在については、

役員と同様に恣意的に何かを行うと考えられているからです。

 

実務上では、社長の配偶者については社長と同様に、税法上の役員になります。

経営に従事していないことの反証が難しいからです。

ですから、給料は役員と同様の期間中に変更することになります。

つまり、期首から3ケ月以内の改定です。

 

また、賞与についても社長と同様の取扱いになりますので、

事前確定届出給与ということでの支給になります。

 

上記の経営に従事していないという反証ができたとしても

他の従業員と異なるタイミングで社長の配偶者へ賞与を

支給した場合には、その賞与の金額は否認される可能性が高くなります。

つまり、社長の配偶者という立場だからこそ、賞与が出せるでしょ?

という理屈になるわけです。

 

(法人税法2条15、同法36条6項、法人税法施行令7条、同法71条)

 

 

この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき

書かれています。法令に改正があった場合には、現在の

取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。