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法人税の交際費はいつの費用になりますか?


法人税の費用計上の原則とは

法人税の費用(損金)計上の原則は、次のようになっています。

1.原価

その事業年度の収益と同じ事業年度に計上

 

2.販売費及び一般管理費

その事業年度に発生した時に計上(ただし、債務確定が原則)

 

3.損失

その事業年度に発生したときに計上

 

法人税法上の損金とは、上記の原価、販売費及び一般管理費、損失の総称です。

ですから、それぞれの項目ごとに、費用計上の基準が異なっています、

 

上記のうち、交際費はどこになるのか?というと

一般的には販売費及び一般管理費になります。

 

では、一般的でない場合とはどのような場合かというと

現場でかかった交際費で、収益と個別対応する交際費であれば、

原価に含まれる場合があります。

 

話は変わって、交際費について勘違いしている方が多いので

申し上げますが、法人税では交際費は損金算入です。

何が言いたいのかというと、法人税の計算では、

現状、中小企業等であれば、800万円まで認められると

思っているかたがすくなくないと思います。

 

しかしながら、法人税法という法律には、一切交際費を

制限する規定は存在しません。

 

上記の800万円の規定は、租税特別措置法という時限立法で規定されています。

したがって、法人税という本法では、交際費の制限はないということです。

 

(法人税法22条3項)

 

交際費の費用計上の時期

さて、では交際費として費用計上する時期はいつでしょうか?

これも勘違いしている方が少なくないです。

 

交際費は、現金主義で計上になります。

すなわち、お金で交際費をお支払いになった時に

交際費を計上するということです。

 

ですから、経理処理では次のような処理は、法人税法上認められません。

(借方)交際費 54,000(貸方)未払金 54,000

→法人税の計算上、交際費という損金を否認します。

 

 

 

では、次のような場合にはどのように処理をしたら良いのでしょうか?

(借方)仮払交際費 54,000(貸方)現金 54,000

この状態で、決算を迎えたとしたら、次のことを確認する必要があります。

 

今期中に54,000は全部使った場合

→法人税の計算では、交際費として損金処理→800万円の枠に考慮

 

今期中に54,000を使っていない場合

→法人税の計算では、何も処理をしなくてOK

 

なぜ、交際費は会計上の発生主義ではなく、現金主義なのか?

というと、言葉の問題なのです。

 

交際費等の損金不算入という規定に「支出する交際費」

となっているため、現金主義ということになります。

 

(租税特別措置法68条の66)

 

 

ワンポイントアドバイス!

実務上では、以下の処理をしている場合もあると思います。

(借方)交際費 54,000円(貸方)未払金 54,000

要するに、経費精算処理についての処理です。

 

この場合には、現金として使った日にちで判断して問題ないです。

すなわち、上記の処理が次のような資料に基づいていれば

いいということになります。

 

(前提)12月決算

交際費としてお金を使った日:12月10日

経費精算書提出日:12月末

経費精算日:翌年1月10日

となっている場合には、上記の経理処理でも法人税法上、

交際費として今期の費用に計上してかまいません。

 

なぜかと言うと、支出する交際費なので、事実として

今期中に現金によるお支払いがあればいいわけです。

経費精算日に着目して交際費の計上時期が変わるわけではありません。

 

 

 

 

 

 

この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき

書かれています。法令に改正があった場合には、現在の

取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。