【免税物品の仕入税額控除の制限】免税店からの購入物品の横流し品のポイント
免税物品の仕入税額控除の制限とは
令和6年税制改正大綱により
免税店で購入されたものと
知りながら購入したものについて
仕入税額控除の制限
が創設されました。
適用開始は
令和6年4月1日以後に行う課税仕入れ
になります。
現実に当てはめると
令和6年4月1日以後に免税店で
購入した物品と知りながら仕入れたものは
仕入税額控除ができなくなる
というわけです。
令和6年5月15日に国税庁は
不正な免税110番 STOP!免税店制度の不正利用
を公表しました。
現状では、免税店への課税認定を行う
ことを行っていますが
今後は免税店で不正な免税を受けている
者やグループの情報を収集するようです。
しかしながらなぜ
免税物品で購入したしたことを
知りながら行った仕入では
仕入税額控除が適用できなく
なったのかを考察します。
免税物品の横流しのスキーム
免税物品の横流しスキームが
発生しています。
現状の制度の穴をついた巧妙な
やり方が考えられます。
取引のイメージは以下のようになっています。
①免税店で外国人旅行者が購入
②外国人旅行者が古物商に売却
③外国人旅行者は手数料をもらう
誰が得をするのかというと
外国人旅行者に免税店での購入を
依頼した第三者です。
現行法だと免税店で免税を受ける
ために行う購入者側の方法は
免税販売手続きを行うときに
①国外に持っていくために購入されていること
②出国するときに税関にパスポードの提示義務
になっています。
もし、出国時に免税物品を持っていない
場合には消費税の納付義務が発生する
ということになります。
古物商などではインボイス制度が導入された
あとでも以前と同じように帳簿等保存方式
で仕入税額控除ができるようになっています。
現実で消費税を免れて穴となる
部分は次の2点です。
①税関で免税物品を持っているかどうかの所持品確認の徹底ができない
②古物商などで本人確認を行わなくても仕入税額控除ができる制度
要するに、消費税を免れて利益を
出したい第三者は次のように行動を
していると考えられます。
購入段階
知り合いの外国人旅行者には免税店で購入するように指示をして
目的としている品物を手に入れる
転売段階
本人確認があまい古物商や質屋などに免税物品を
もっていって売却を行う
この段階で、第三者は消費税率分を
支払っていないことから最低でも
消費税率分の粗利を稼ぐことが
できる可能性があります。
それで、免税物品を購入した
外国人旅行者に手数料を支払い
取引は完了といった感じです。
免税物品を購入しないようにするためには
今回の仕入税額控除の制限は
上記のようなスキームを封じ込める
目的で行われていると考えます。
現実では関税で外国人旅行者
全員に免税物品を購入した事実や
所持品チェックの検査を行うことは
入出国の円滑な推進を行うには
非常に難しいのだと考えられます。
結果、免税物品を購入する可能性が
高い古物商などに規制を設けたという
ことになります。
一応、国税庁として買取を行う
事業者向けにポイントを公表しています。
・ 本人確認書類等から、日本に居住の事実がない非居住者からの買取りであると認められる場合
・ 本人確認書類として提示された書類の偽造が疑われる場合
・ 持ち込まれた物品に免税用のパッケージがされていた(又はされていた痕跡があった)場合
・ 同種同等の物品について、大量又は定期的に買取りを求められた場合
・ 買取時の確認の際、本人確認書類等を提示した本人ではなく、付添人が主導的に対応するなど、持込者が購入した(又は所持していた)物品でないことが疑われる場合
・ 高級物品の買取りを求められた場合において、持込者の様子などから当該高級物品の所有者であることに疑いがある場合
・仕入れの相手先と主にSNSでやり取り等している場合に、当該相手先が同一のアカウント名等でSNSにおいて免税品購入に関するアルバイト(いわゆる買い子)を募集しているなど、輸出物品販売場制度を不正利用していることが疑われる場合
最終的にどこまで精査して買取を
行うのかは事業者側の自由です。
しかしながら、近年では免税店は
税務署からの摘発が増えている
印象があります。
免税店への摘発がある程度済んだあとは
買取事業者への調査が強化される可能性が
あるかもしれません。
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