インボイス制度

【インボイス制度】月の途中でインボイス発行事業者になった場合のインボイス対象取引の考え方


月の途中でインボイス発行事業者になった

国税庁は令和6年4月8日に

インボイスQ&Aを改訂しました。

 

今回は、改訂された内容の

問77-2にを前提に解説します。

 

問77-2の質問事項は以下

当社は、機械装置の貸付けを行っている免税事業者です。契約上、毎月末に使用料を受領し、
領収書を発行しているところ、この度、月の中途に適格請求書発行事業者の登録を受けたのですが、
どのように領収書(適格請求書)を交付すべきでしょうか。
また、棚卸資産としての機械装置の販売やその保守点検といった役務提供も行っていますが、
この場合の適格請求書の交付はどうなりますか。

 

こういった取引についての国税庁の

インボイス対象取引の考え方は

以下のようになります。

 

 

 

資産の貸付のインボイス対象取引の考え方

原則的な考え方

資産の賃貸借契約に基づいて支払を受ける使用料等の額(前受けに係る額を除きます。)を
対価とする資産の譲渡等の時期は、当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日
とすることとされています。
そのため、ある月の中途に適格請求書発行事業者の登録を受けた場合においても、
月末にその月分の支払を受けることとしているなど、使用料等の支払を受けるべき日が登録日以後となるのであれば、
その月分の使用料等の全額につき適格請求書を交付することとなります(基通9-1-20)。

 

上記は次のような取引に分類する

ことができます。

①資産の賃貸借契約に基づいて支払い受ける使用料であること(前受けは除く)

②契約又は慣習により支払を受けるべき日になること

③月末にその月分の支払う受ける場合

④支払いが登録日以後になるのであれば全額がインボイスの対象取引になる

 

原則的な考え方のポイントは

売上として請求する日になる日にちは

支払を受けるべき日になることです。

 

問77-2のイメージでは3月15日に

インボイス発行事業者の登録を受けて

 

3月1日から14日までが免税事業者

15日以降がインボイス発行事業者

として

 

3月31日が支払いを受けるべき日

としています。

 

上記に当てはめると一般的な

感覚では3月15日以降がインボイス

対象取引になると考えますが

 

支払を受けるべき日になる3月31日では

すでにインボイス発行事業者になっている

ため、3月1日から31日までのすべての

期間がインボイス対象取引になり

 

消費税の課税取引にも該当するため

全額をインボイス対象取引として

インボイスを交付することになります。

 

では、資産の貸付である対価(以下、使用料)

が前受けであった場合を考えます。

 

具体的には2月に3月分の使用料を前受けで

支払われた場合になります。

 

こういった場合には

3月1日から14日までは通常の請求書対応

で問題ありませんが

 

3月15日から31日までの期間については

インボイスを別途交付する必要があります。

 

 

 

棚卸資産のインボイス対象取引の考え方

インボイス対象取引を確定させる

ため棚卸資産の譲渡を行った日を

確認します。

 

棚卸資産の譲渡を行った日は

その引渡しのあった日とされており、引渡しの日がいつであるかについては、
例えば、出荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日、
検針等により販売数量を確認した日等、当該棚卸資産の種類及び性質、
その販売に係る契約の内容等に応じてその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、
事業者が継続して棚卸資産の譲渡等を行ったこととしている日によるものとされています(基通9-1-1、9-1-2)。

 

要するに、売手と買手がこの日に取引を

完了させたとした日になります。

 

今回は、出荷した日(以下、出荷基準とします。)

で譲渡を行ったとして解説します。

 

インボイス発行事業者になった日は

上記と同様3月15日とします。

 

すると次のように取引を行った日になり

インボイス対象取引がわかります。

 

3月1日から14日までに出荷した場合は

この期間は、免税事業者期間になるため

インボイス対象取引ではないものになります。

 

通常の請求書の交付を買手に行う

ことで足りることになります。

 

3月15日以降の取引はすべて

インボイス対象取引になるため

インボイスの交付が必要になります。

 

棚卸資産の売上がインボイス対象取引に

なるかどうかのポイントは

 

売手と買手でいつ売買が成立したと

しているかがポイントです。

 

今回は出荷基準で売買が成立した

としているため上記のようになりますが

 

相手側(買手)が検収した日を

もって売買が成立したとする契約であれば

 

検収通知書に書かれている検収した日が

売買成立日になるため

 

この日が3月14日以前であれば

通常の請求書の交付をしますし

 

3月15日以降であればインボイス

の交付を行うことになるわけです。

 

 

役務提供のインボイス対象取引の考え方

役務提供とは要するに保守サービスとか

などで有形のモノの売買などで売上が

成立しない取引をイメージします。

 

さて、役務提供を行った日を確定させる

ことでインボイス対象取引を確定できるため

役務提供を行った日を確認します。

 

役務提供を行った日とは

役務の提供を行った日は、原則として、その約した役務の全部の提供を完了した日になります(基通9-1-5)。

 

要するに、何かしらのお仕事を完了した日

を持って取引が成立したと考えます。

 

問77-2においては保守点検になるため

保守点検が完了した日によって

インボイス対象取引かどうかを判断します。

 

これを踏まえて考えると

インボイス発行事業者になった日を

3月15日と仮定すると

 

3月14日までに保守点検が終わった

場合にはインボイス対象取引ではない

ものになるため通常の請求書の交付にて

取引が完了します。

 

3月15日以降に保守点検が終わった

場合にはインボイス対象取引なので

インボイスを交付して取引が完了する

ことになります。

 

3月15日以降で保守点検が完了した

場合には現実では3月14日以前から

保守点検を行っていると思います。

 

ですから、3月14日以前の保守と

15日以降の保守で売上を日割りにして

分けてしまう考え方をしてしまうことが

ありますが

 

役務提供を完了した日ですべてが

完了していると考えるため

 

3月14日以前にかかわった仕事が

あったとしても役務提供が完了した日が

3月15日以降であれば

 

全額がインボイス対象取引になる

という点もポイントになります。

 

 

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