【賃上げ促進税制】中小企業のための別表の作成を解説
賃上げ促進税制とは?
中小企業者等が、平成30年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する
各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において
その事業年度においてその中小企業者等の雇用者給与等支給額から
その比較雇用者給与等支給額を控除した金額のその比較雇用者給与等支給額に対する割合が
1.5パーセント以上であるときは、その事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額の
15パーセント相当額の法人税額の特別控除ができることとされています。国税庁 No.5927-2より抜粋
上記を項目ごとに分けると次のように
なります。
対象期間:平成30年4月1日から令和6年3月31日まで
対象給与等:国内雇用者について支給した給与
判定の割合:(雇用者給与等支給額ー比較給与等支給額)÷比較給与等支給額≧1.5%
税額控除の計算:(雇用者給与等支給額ー比較給与等支給額)×15%
ただし、税額控除で計算した金額が
法人税の20%相当額を超える場合には
法人税の20%相当額になります。
国内雇用者の定義は
法人の使用人(その法人の役員と特殊の関係のある者等の一定の者を除きます。)のうち
その法人の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者をいいます。国税庁 No.5927-2より抜粋
雇用者給与要支給額とは
雇用者給与等支給額とは、法人の適用年度の所得の金額の計算上損金の額に
算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。
ただし、その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額がある場合には
その金額を控除します。国税庁 No.5927-2より抜粋
比較給与等支給額とは
前事業年度における雇用者給与等支給額をいいます。
国税庁 No.5927-2より抜粋
一定の教育訓練費がある場合には
上乗せ措置がありますがこちらの
解説は省略します。
税額控除の計算では雇用安定助成金
の取り扱いが異なるところがあります。
次の通りです。
控除対象雇用者給与等支給額では
雇用安定助成金を控除しません。
控除対象雇用者給与等支給額とは
雇用者給与等支給額ー比較給与等支給額です。
対して、雇用者給与等支給額と
比較給与等支給額では
雇用安定助成金を控除します。
つまり、判定の割合の1.5%増加の
ところの計算では雇用安定助成金を控除
して計算するのに対して
控除対象雇用者給与等支給額を
計算するときには雇用安定助成金を控除
しないで計算します。
中小企業のための別表の作成方法
令和5年4月1日以後終了事業年分
の賃上げ促進税制で使う別表は
6(26)と6(26)付表1です。
この別表は
給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書
といいます。
上記と忘れてはいけないのが
別表6(6)です。
この別表は
法人税の額から控除される特別控除額に関する明細書
になります。
税額控除を受けるときには
控除金額をこの別表に反映させて
確定申告書と一緒に提出します。
さらに忘れてはいけない添付資料は
適用額明細書になります。
こちらも税額控除などの租税特別措置法
の適用を受ける場合に提出します。
作成手順は6(26)付表から作成して
6(26)に該当金額を反映するといった
作成になります。
付表を作成しないと6(26)が作成できない
仕組みになっています。
付表では判定の割合を計算するので
付表から作成すると理解するとよいです。
合併などや上乗せ措置がなければ
付表の12番
調整比較雇用者給与等支給額
の計算まで行います。
付表の計算と記載が終わったら
付表の金額を6(26)の該当する
ところに記載することで
税額控除の計算をすることが
できるようになっています。
別表作成の誤りやすい事例
ここからは6(26)の作成で誤りやすい
事例をお伝えしておきます。
すべて国税庁が公表している
事柄になりますので頻発している
ことなのだと思われます。
まずは、基本中の基本である
中小企業になるのかどうかを
判断することです。
中小企業者の判定表が
国税庁から公表されているので
念のため確認しておくとよいです。
雇用者給与等支給額には
役員給与は含んではいけません。
国内雇用者の定義に沿って
雇用者給与等支給額を計算します。
国税庁が最も強調している間違いは
前期も賃上げ促進税制を適用している
場合には
当期で使う比較給与等支給額と
前期の雇用者給与等支給額は
一致します。
一致しない場合は前期と当期で
事業年度が異なるとか
合併があって調整を行ったなど
になるため
一般的な中小企業を前提にすれば
基本的には当期の比較給与等支給額と
前期の雇用者給与等支給額は一致する
というわけです。
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