身近な法務

個人事業主が個人事業を維持したまま法人を設立するメリットとデメリットを税理士・行政書士が解説


個人事業を維持したまま法人を設立した場合のメリット

個人事業を維持したまま法人を

設立するメリットは社会保険の

負担を減らすことができることです。

 

社会保険は健康保険と年金から

構成されています。

 

個人事業だと国民健康保険料(税)と

国民年金になります。

 

国民健康保険料(税)は

税法上の前年の総所得金額から

43万円の基礎控除を引いた金額に

7.13%などを乗じて支援金分

介護分を足した金額です。

 

一般論として個人事業の所得が

多くなればなるほど国民健康保険料(税)

が多くなることになります。

 

国民年金は令和3年度の保険料が

月額16,610円になります。

 

対して法人を設立して法人から

給料を支給した場合には東京都では

 

健康保険は

40歳未満で2,853円

40歳以上で3,375円

 

厚生年金は8,052円

となり最低額で計算すると

両方で10,905円になります。

 

上記は令和3年4月納付分時点の

社会保険料率で月額58,000円以下に

することで実現可能です。

 

個人事業主として年間で支払っている

金額と比較すればメリットがあると

考えられることになります。

 

 

個人事業を維持したまま法人を設立した場合のデメリット

では上記の場合のデメリットを

確認してみます。

 

まず、個人事業を維持しながら

法人を設立するので

 

法人の設立費用が初期に必要です。

また法人税の決算と申告もする

必要があります。

 

法人の場合は赤字でも

均等割りという基本の税金が

最低年間で7万円の負担があります。

 

税理士へ申告を依頼すると

申告報酬などもかかります。

 

個人では事業所得と給与所得の

確定申告が必要になります。

 

こちらは収入によって

所得税、住民税、個人事業税の

納付を行うことになります。

 

老後も考えていきます。

年金は国民年金と厚生年金が

存在します。

 

現行法令上では原則65歳から

年金をもらうことになります。

 

国民年金は満額で年間780,900円

厚生年金は報酬比例に一定の金額を足した金額

 

現行法令上でのデメリットは

報酬比例です。

 

報酬比例はイメージとしては

今までの月給の平均に一定率を乗じて

計算した金額です。

 

つまり、月給が少なければ少ないほど

将来もらう年金が少なくなります。

 

 

まとめ

まとめとして個人事業を維持しながら

違う事業を法人化する場合には

 

社会保険料の金額は低くなる

ということがメリットですが

 

法人を設立することで

必要のなかった税金が発生して

追加の費用も必要になること

 

申告手続きが複雑になること

将来の年金が減る可能性があること

 

以上のデメリットも考えたうえで

結論を出すことがよいかと思います。

 

 

 

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この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき

書かれています。法令に改正があった場合には、現在の

取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。

 

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