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建設業の簡易課税の事業区分の注意点を解説


簡易課税の事業区分とは?

簡易課税の事業区分は次のように決まっています。

事業区分みなし仕入率該当する事業
第一種事業90%卸売業
第二種事業80%小売業(第一種事業以外のもの)
第三種事業70%農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第一種事業と第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これらに類する料金を対価をする役務の提供を除きます。
第四種事業60%第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業、第六種事業以外の事業をいい、飲食店などが該当します。なお、加工賃その他これらに類する料金を対価をする役務の提供も第四種事業となります。
第五種事業50%運輸通信業、金融・保険業、サービス業(飲食店業を除く。)をいい、第一種事業から第三種事業に該当する事業を除きます。
第六種事業40%不動産業

 

結論としては建設業は第三種事業に該当することになります。

実務上でも「簡易課税制度選択届出書」の事業区分では

第三種事業と書いてあることが多いですね。

 

しかし、実務上は実際の売上の内容を考えないと

事業区分が違う場合があります。

 

事業区分が重要となる理由はみなし仕入率が異なるからです。

簡易課税は売上の預り消費税から控除する消費税の計算上

みなし仕入率を使います。

 

第三種事業であれば、70%のみなし仕入率となっているので

預かった消費税の70%が控除されて、残りの30%分の消費税を

納付することになります。

 

対して、もし第四種事業に該当したとしたら

みなし仕入率が60%になりますで、40%分の消費税を納付する

といったことになります。

 

結論として簡易課税を選択する場合には

事業区分の判断もしっかり行ったうえで選択することになります。

 

 

建設業=第三種事業というわけではない

簡易課税の事業区分を確認してみると建設業は

第三種事業に該当するようです。

 

これだけで判断して良いのかというと違います。

簡易課税の事業区分は日本産業分類の大分類を基礎として判断するため

ざっくり、建設業=第三種事業ということになっているだけです。

 

第三種事業に該当するために、次の様な事業を行っていることが必要です。

①自己の計算において原材料等を購入し、これをあらかじめ提示した条件に
従って下請け加工させて完成品とする、いわゆる製造問屋

②自己が請け負った建設工事の全部を下請けに施工させる建設工事の元請

③天然水を採取して瓶詰等をして人の飲用に販売する事業

④新聞・書籍等の発行、出版を行う事業

 

さて、建設業の②を確認してみるとどうやら元請が

第三種事業に該当すると考えられそうです。

 

では下請けはどうなるのかということになります。

まずは、建設業の売上の内容を確認します。

 

建設業で考えられる売上の中身は

①請負工事で完成品を納品する工事の売上

②職人を現場に派遣するなどの役務の提供の売上

③材料の提供を受けて完成品を納品する工事の売上

ということになると思います。

 

上記のうちそれぞれを簡易課税の事業区分に落とし込みます。

①はものを製造して完成品を引き渡しているので第三種事業に該当します。

②は現場の加工などのための人を派遣した代金となりますで第四種事業に該当します。

③は有償提供と無償提供で事業区分が異なります。

材料の提供が有償の場合・・・第三種事業

材料の提供が無償の場合・・・第四種事業

に該当します。

 

考え方は材料の無償提供は現場の加工のみの売上になるので

最終的にはものの完成品を納品するでしょうが材料を加工して

完成品を製造したという考え方になるので第四種事業に該当します。

 

因みに、材料の提供は主要材料が有償提供されているのか

無償提供されているのかで判断します。

 

 

 

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