会社・事業

建設業における消費税の納税資金が会社にない理由とは?


建設業ではなぜ消費税の納税資金がなくなるのか?

導入と前提

建設業では消費税の納税資金に苦労することがあります。

法人税までは納付することができても消費税までは

お金が回らないといったことが起こるのです。

 

なぜ建設業では消費税の納税資金に苦労するのでしょうか?

建設業特有の事情と併せて解説します。

 

まず、消費税は税抜経理を前提にします。

税抜経理とは、経理処理で本体金額と消費税を分けて

記帳する方法となります。

 

こうすると、業績を表す損益計算では消費税は載りません。

例えば、売上金額が税込で110万円の場合には

損益計算では売上の金額は100万円となります。

 

それと損益計算と収支計算の違いが前提知識になります。

 

損益計算は会社の業績を計算する計算方法です。

つまり、売上ー原価ー販売費及び一般管理費=営業利益

というような計算をする損益計算書がベースです。

 

収支計算はお金の増減に関する計算方法です。

実際に動いたお金で、お金が増えれば+減ればーとなります。

 

 

損益計算ではお金の移動が見えない

まずは、損益計算で法人税を引く前の金額である

税引前当期純利益が100万円としましょう。

 

それで消費税が30万円としましょう。

 

基本的には損益計算の税引前当期純利益に近い金額が

3月末にはお金として残っていることになります。

 

しかし、建設業だと特有の事情があります。

職人への前渡し、現場経費の立替えといった事情です。

 

現場が動いていて職人が自分の報酬で全部賄う

ということができれば良いのですがそうもできず

仕事を請け負わしている下請けの職人たちへ

前渡し、立替えといった感じでお金を渡します。

 

この職人への前渡し、立替えは損益計算では経費となりません。

なぜなら、お金が移動しているだけだからです。

 

従って、黒字となっていてもお金がなく

法人税は何とかなるが、消費税を支払うことができない

といったことになります。

 

つまり、損益計算で出た利益よりもお金は減っていて

納税する段階だとお金が無くなっているのです。

 

また納税の納期限は決算後2か月です。

3月決算だと5月末となります。

 

5月のときのお金の状況が納税資金に影響を与えることになります。

すでに現場でのお金を回している状況となります。

前渡し、立替えでもお金を使っています。

 

こうしたことから、消費税の納税資金が足りない

といったことが起こる可能性があるのです。

 

 

 

消費税の納税資金をどうやって貯めるか?

では、消費税の納税資金をどうやって貯めるのか

を考えることになります。

 

建設業の社長さんと私が話して私が出した結論は

概算納税額を12で割った金額を納税準備金として

銀行に積みたてておくことです。

 

社長さんによりますが、概ね建設業の社長さんはお金を

結構使ってしまいます。

 

お金があるから使ってしまうことになるので

お金があるうちにお金を貯めることを推奨します。

 

または納税のために銀行からお金を借りる

といったこともやり方の一つです。

 

こちらはお金を貯めることが非常に不向きな性格の

社長さん向けの措置だと思います。

 

将来返さなければならなくなるお金を借りて納税して

後からお金を返していくことになります。

 

将来のお金がなくなることを理解しておかないと

返済金まで使ってしまう可能性がありますね。

 

この様に、前もって納税資金を貯めておくか

納税のときに銀行からお金を借りるかという

2つの方法を考えることができます。

 

 

 

 

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