法人が車を下取りに出して車を買い替える場合の実務上の経理処理
前提条件
経理処理を解説する前に前提条件をまとめます。
事業形態:法人
下取り価格:30万円
下取りの車の帳簿価額:10万円
買い替える車の購入金額:220万円
消費税:課税事業者
消費税の会計処理:税抜経理方式
会計処理:税務会計をベース
売却日:期首
下取り金額を新車の購入金額へ当てる
以上を前提とした法人における実務上の経理処理を
解説していきます。
今回は実務上で多く行われる方法として
下取りした車の売却金額を購入資産の購入金額から
減額する取引を前提とします。
それが「下取り金額を新車の購入金額へ当てる」の意味です。
税務会計をベースにするのは法人税と消費税の会計処理を
前提としているので通常の会計処理とは異なるからです。
会計処理の解説が目的なので固定資産は直接法
売却日は期首としました。
通常、簿記検定でも習うことになっている
車の買替ですが、実務だと、あれ?どう処理したら・・・
ということが起こります。
ご参考になれば幸いです。
車を買い替えた場合の経理処理
売却の会計処理
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
未収入金 | 300,000 | 雑収入 | 272,727 |
仮払消費税 | 27,273 | ||
雑収入 | 272,727 | 車両運搬具 | 100,000 |
固定資産売却益 | 172,727 |
税務会計ベースの会計処理だと上記のようになります。
消費税の課税事業者で税抜経理方式を前提としてるので
30万円の売却金額は本体と消費税に分けます。
売却金額の本体金額と車両の帳簿価額との差額が
固定資産売却益になるということになります。
なぜ売却益をいきなり計上しないのかというと
消費税では売却金額の総額が消費税の課税売上を
構成するからです。
ですから、売却損であったとしても
一度は雑収入などの収益項目で課税売上を計上して
売却損の計上は一番最後に行うことになります。
買替車両の購入の処理
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
車両運搬具 | 2,000,000 | 未収入金 | 300,000 |
仮払消費税 | 200,000 | 未払金 | 1,900,000 |
車の購入にあたっては下取り金額を
購入する金額へ充当する取引ですので
未収入金を貸方に記帳することになります。
消費税は税抜経理方式なので本体金額と
消費税に分けて記帳します。
実務上の処理の注意点
固定資産を購入する場合には取得価額とリサイクル預託金に
注意が必要となります。
法人税法上では取得価額に入る、入らないが明確になっていて
購入金額+付随費用=取得価額
ということになっています。
このうち、付随費用が実務上の留意点です。
国税庁によれば、付随費用として取得価額に
含めなくてよい費用が限定列挙されています。
次のような租税公課等
1.不動産取得税又は自動車取得税
2.新増設に係る事業所税
3.登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
車の購入では、自動車取得税や登録するために要する費用は
租税公課で費用計上することになります。
建物の建設等
建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等で
その建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用
違約金
いったん結んだ減価償却資産の取得に関する契約を解除して
他の減価償却資産を取得することにした場合に支出する違約金
借入金の利子
減価償却資産を取得するための借入金の利子
(使用を開始するまでの期間に係る部分)
割賦販売契約での利子や費用
割賦販売契約などによって購入した減価償却資産の
取得価額のうち、契約において購入代価と割賦期間分の利息や
売手側の代金回収のための費用等が明らかに区分されている
場合のその利息や費用
実務上では分割払いにおいて利子や分割払い手数料など
として明確に区分されることになります。
従って、取得価額に入れることはまれであると考えられます。
リサイクル預託金
実務上では車の購入明細書に登場します。
もし、購入明細にリサイクル預託金が
登場している場合には
借方勘定科目にリサイクル預託金として
車の購入金額とは分けて資産へ計上します。
まれに、リサイクル預託金が購入明細に
記載が無い場合があります。
このときには計上することが不可能ですから
リサイクル預託金はなかったものとして
通常の車の購入の会計処理を行っていきます。
最後に、上記以外で購入に要したものは
取得価額にすることになります。
例えば、カーナビは購入時に付けることが多いですが
こちらも取得価額へ算入することになります。
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