消費税の簡易課税で節税になる場合とは?
消費税の簡易課税ってなに?
消費税は2種類の計算方法があります。
原則課税方式と簡易課税方式です。
原則課税方式は消費税の納税義務者全員が行う原則的な計算です。
簡易課税方式は、基準期間売上という2年前の売上が5,000万円以下の
個人・法人が選択できる簡易的な消費税の計算方法です。
簡易課税の計算の方法は、以下の様になっています。
1.納付額の計算 売上の消費税-経費の消費税=納付額
2.経費の消費税 業種によって決まっている(ex.卸だと90%など)
3.実際の計算例示
前提:卸売業、売上4,000万円
①経費の消費税(みなし仕入率で計算)
4,000万円×90%=3,600万円
②納付額の計算
(4,000万円-3,600万円)×8%=32万円
この様に、簡易課税は売上高にみなし仕入率という
業種で決まった割合をかけて納付額を計算していきます。
(実際の消費税の計算方法とは異なりますが、
計算のイメージを知ってもらうためにあえて簡易的に計算しています。)
参考サイト
(消費税法37条、消費税法施行令57条)
節税目的で簡易課税を取る場合の判断
節税目的で簡易課税を取る場合の判断としては、
人件費÷売上(人件費割合)の割合がどれくらいか?でまずは
判断することができること思います。
要するに、業種によってみなし仕入率が決まって
いますので、「人件費割合<みなし仕入率」であれば、
簡易課税で計算した方が有利(節税になる)ということです。
なぜ人件費割合だけをピックアップするのかというと
人件費=給料+法定福利費(社会保険)は
原則課税方式の消費税の計算では、経費の消費税になりません。
原則課税の計算方式は・・・
売上の消費税-経費の消費税=納付又は還付
ですので、人件費は売上の消費税から控除できないのです。
したがって、人件費割合が大きい業種であればあるほど、
簡易課税方式による計算の方が消費税の納付額を少なくできます。
ただ、先ほども申し上げた通り、2年前の売上が5,000万円以下
出ないと選択することができません。
ワンポイントアドバイス!
実務上、税理士がやってしまいがちなミスは、
簡易課税が有利、かつ、選択できるにも関わらず、
「簡易課税選択届出書」を届出期限までに提出を
しないということです。
消費税の場合には、何かを選択するときは、
選択する事業年度の前期までに提出しないといけません。
話は変わって、簡易課税選択届出書は
不適用届出書を提出しないと継続しています。
これは、2年前の売上が5,000万円超となった
事業年度についても同じです。
そのまま放っておくと、何年か後に、
2年前の売上が5,000万円以下になって簡易課税が復活するのですが、
5,000万円超となってからずっと原則課税で申告を
してきていたので、簡易課税にしないで原則課税で申告をする
というミスを私はやったことがあります。
簡易課税が取れなくなった時点で、
不適用届出書の提出を検討された方がいいと思います。
参考サイト
(消費税法37条1項、同条5項)
この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき
書かれています。法令に改正があった場合には、現在の
取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。