ひとり社長で福利厚生費ってあり得るの?
税法上の福利厚生費って何?
税法上、福利厚生費は明文化されていません。
それでは、福利厚生費っていったい何だろうと
ということになるわけです。
goo国語時点によれば・・・
企業が、労働力の確保・定着、勤労意欲・能率の向上などの効果を期待して、
従業員とその家族に対して提供する各種の施策・制度。
主として従業員の生活の向上を支援する目的で実施されるもので、
法律で義務づけられた法定福利(社会保険料の事業主負担など)と、
企業が任意で実施する法定外福利(交通費・社宅・健康診断・育児支援・保養施設など)がある。
ということになるわけです。
つまり、主として従業員とその家族に対して企業が行うことに
使った費用という定義になりそうです。
そうしていくと、ひとり社長では、福利厚生費は
あり得ないのではないかという結論になってしまいます。
それでは税法上では、どこまでひとり社長ができるのかを
見ていきたいと思います。
福利厚生費はほとんど給料になる!?
1.食事を支給した時
次の2つの要件を満たしていれば、給与として課税されません。
(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること
(2)次の金額が1カ月当たり3,500円(税抜)以下であること
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
2.その他
・永年勤続者への記念品等、創業記念品等
・商品、製品等の値引き販売
・金銭の無利息貸付け等
・用役の提供
・使用人等に対し技術の習得等をさせるために支給する金品
・使用者が負担するレクリエーションの費用
・一定の保険にかかった費用
以上のもので、一定の要件を満たすものは給与になりません。
逆に、その一定の要件を満たさない場合には、
すべからく、給料にされ、所得税の課税が行われます。
上記以外にも、特定の人だけに利益が及ぶような行為は
給料として税務署に認定される可能性があります。
(所得税法28条)
参考サイト
ワンポイントアドバイス!
国税庁の「給与等に係る経済的利益」を見てみると
「使用者が役員又は従業員に対して」と表現している
ものがいくつかあります。
そういった場合に、使用者=役員=ひとり社長という
図式が見えてくるわけです。
この場合に、「給与等に係る経済的利益」のうち、
「特定の役員又は使用人」という文言がないものは、
給料課税されないのか?というと、されないと思います。
また、実務上ですが、福利厚生費としてどこまでの経費を
入れるのかという問題があります。
これは、入れてみないとわからないというのが実情です。
私の経験で申し上げれば、ひとり社長の福利厚生費として、
1,000円以下の昼食、夜食、飲料水代といったものは
個人的な経費ですねと言いながら給料課税してきません。
要するに計算が面倒だからということなのでしょう。
また、それを行うとどうなるのかというと、
1つの会社で行うと、課税公平の見地から、
税務調査に入った全ての会社で給料認定を行う必要性が
出てくるということになります。
言うまでもないことですが、ひとり社長の場合には、
その経費について事業性があることが前提で経費を
入れるかどうかの判断となります。
この前提を作っていくことが必要です。
この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき
書かれています。法令に改正があった場合には、現在の
取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。