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平成28事務年度から見る税務調査


法人税等の調査事績の概要とは

法人税等の調査事績の概要とは、

税務署は、その年の7月から翌年の6月までが事務年度です。

平成28事務年度という今回の調査の概要は、

平成28年7月~平成29年6月までの調査概要になります。

 

この概要で分かることは、次のことが分かります。

・通常調査における調査件数と非違事項の数

・国税庁が力を置いて行っている税務調査

・税務調査の事績の内容

 

今回の概要では、調査件数は97,000件ほどで

非違事項(新たに税金が発生する事項)は

72,000件であったようです。

 

内容はともかく、78%の確率で何かしらを

税務調査で指摘され、追徴が発生している

ということになります。

 

非違事項72,000件のうち、不正計算があったのは、

20,000件です。非違事項があった会社の約28%になります。

全体でみると20%ですので、税務調査10回のうち2回は

不正計算に出くわすということになっています。

 

しかし、この不正計算というものですが、何をもって

不正計算としているのかが不明で国税庁がそう言っているから

というものになります。

 

ちなみに、調査1件当たりの追徴税額は1,788,000円だそうです。

この中には、本税のほかに加算税という罰金も含まれて

いますので、本当の本税の追徴課税がいくらなのか?

全体を通しての平均値なので、中央値はどれくらいなのか?

といった意味で、正確性、公平性のある数字にはなっていません。

 

 

 

主に3つの取組事項がある

今回の概要では、3つの取組みがあったようです。

その取り組みとは、次のようなものです。

・消費税の還付申告法人に対する取組
・無申告法人に対する取組
・海外取引法人等に対する取組

 

1.消費税の還付申告法人に対する取組

要するに不正還付です。

取引としては、以下の様な単純なものです。

国内でものを仕入れる→輸出する→還付

というものなのですが、

 

輸出したことを証明するには、輸出証明書が必要になります。

こちらを偽造、ねつ造することで、輸出があったように見せかけて

国内で仕入れたモノの消費税を還付させるというスキーム

になります。(スキームでも何でもないですが)

 

これの摘発を税務調査で行っているということです。

実際に以下の表の様になっています。

実地調査件数6,867件
非違事項件数3954件
非違事項のうち不正計算件数802件
調査による追徴税額296億円
追徴税額のうち不正計算税額128億円

実地調査とは、実際に事務所へ税務調査官が訪問して

行われる調査になります。

 

2.無申告法人に対する取組

申告すること自体知らなったでは済まないです。

以下の表の様になっています。

実地調査件数左のうち意図的な無申告件数
法人税2,623件363件
消費税1,998件244件

無申告法人のうち10%くらいが意図的な無申告

ということになっています。

また、追徴税額も多くなっていますので、

基本的な税務の取組みをしていれば、

税理士報酬を支払ってもお金は余ります。

 

3.海外取引法人等に対する取組

(1)通常の申告調査

実地調査件数13,585件
非違事項件数3,335件
非違事項のうち不正計算件数500件

割合としては、税務調査になると約24%が何かしらの

指摘を受けていることが分かります。

近年ですと、パナマ文書、最近公表されたパラダイス文書

の影響から、国税庁は今後も海外取引を注視していると思われます。

 

(2)国際源泉所得税

こちらは調査件数よりも、何が問題となって源泉徴収の

追徴を受けいているのか?という原因が重要です。

以下の抜粋資料をご覧ください。

使用料等、人的役務の提供事業、給与等で74%を

占めていることが分かります。

つまり、国際源泉で注意すべきなのは、上記3つになります。

 

 

ワンポイントアドバイス!

ここまで、税務調査の概要を分析してきましたが、

次の様に結論をすることができます。

・無申告は普通に申告した方がいい(お金も余る)

・不正計算するなら、不正にならないような口実をつくる

・海外の取引がある会社は今後も調査が強化される

 

税務調査は来ないから、無申告でもばれないから、

海外取引はわからないからというのはもはや

通らない時代に突入しています。

 

税金をいくらにするかということと、

納税をしないということは話が別なので、

まずは、何をしたら良いのか?という

着目をして対応を決めて頂ければと思います。

 

参考資料

平 成 28事務年度 法 人 税 等 の調 査 事 績 の概 要

 

 

この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき

書かれています。法令に改正があった場合には、現在の

取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。