貸家と貸家の土地で相続税・贈与税を節税する!
貸家と貸家の土地って?
貸家には以下の2つが考えられます。
1.一棟の家ごと貸している場合
2. アパートを貸している場合
この様に、貸家の敷地のことを貸家建付地と呼びます。
相続や贈与では、この貸家建付地になると評価額が
下がることから節税対策になります。
したがって、サブリースという大手建設会社が
30年一括借り上げのようなスキームで相続税対策
として売り出している状況があるわけです。
相続税・贈与税で評価する方法
それでは、実際の評価方法をやってみましょう!
前提:家屋の評価額3,000万円、土地の評価額1億円とする。
借地権割合:0.6 借家権割合:0.3とする。
1.一棟を貸している場合
(1)貸家の評価方法
家屋の評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)=貸家の評価額
3,000万円×(1-0.3)=2,100万円
(2)貸家建付地の評価方法
土地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
1億円×(1-0.6×0.3)=8,200万円
賃貸割合は、全体のうちに、貸している部分の割合になります。
一棟を貸しているので賃貸割合は、1ということになります。
したがって、一棟を貸している場合には考慮しません。
(3)節税額
①3,000万円-2,100万円+1億円-8,200万円=2,700万円
②税率40%として試算
2,700万円×40%=1,080万円が節税になります。
2.アパートを貸している場合(10室のうち8室貸している場合)
(1)貸家の評価方法
3,000万円×(1-0.3×8/10)=2,280万円
(2)貸家建付地の評価方法
1億円×(1-0.6×0.3×8/10)=8,560万円
賃貸割合は、全体のうちに、貸している部分の割合になります。
今回の場合には10室のうち8室を貸している状況としましたので、
8/10である0.8をかけて計算しています。
(3)節税額
①3,000万円-2,280万円+1億円-8,560万円=2,160万円
②税率40%として試算
2,160万円×40%=864万円が節税になります。
賃貸割合について、本来の賃貸割合は、次のように計算します。
今回は計算の便宜上、部屋数での賃貸割合としました。
A=その家屋の各独立部分の床面積の合計
賃貸割合=Aのうち賃貸している各独立部分の床面積合計÷A
ですから、賃貸割合を計算するには、部屋ごとの床面積を
下に計算して、共有部分は含みませんので、ご注意ください。
(相続税法基本通達93~94、タックスアンサーNo.4614)
ワンポイントアドバイス!
実務上で注意したいのは、アパートの賃貸割合です。
賃貸割合は、相続では、被相続人の死亡時、
贈与では贈与時点で貸していた割合に拠ります。
ですが、アパートの場合には、一時的な空室という
状況はあり得るわけです。
贈与であれば、賃貸割合が最大になった時に贈与
すればいいですが、相続ではそうはいきません。
この判断については、国税庁は以下の判断基準を
示しています。
各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか
賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか
空室の期間、他の用途に供されていないかどうか
空室の期間が課税時期の前後の例えば1ケ月程度であるなど
一時的な期間であったかどうか
課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうか
などの事実関係から総合的に判断します。
なお、課税時期とは相続では被相続人の死亡時、
贈与であれば、贈与時という意味になります。
また、アパート建設でサブリース契約の注意点としては、
借入金が年商の10倍を超えない方がいいです。
10倍を超えると返済できなくなる可能性が高くなります。
というのは、サブリース契約では30年一括借り上げといった
売り文句がありますが、実際には10年ごとに賃貸料の更新が
ありますので、料金が下がっていきます。
また、契約が終わりに近づくと必要な修繕は
行われないのが普通です。
したがって、経営力のないオーナーのままでいると
サブリース契約が終わった後のアパート経営は
悲惨なものとなってしまいます。
参考サイト
この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき
書かれています。法令に改正があった場合には、現在の
取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。