中小企業におけるリース取引の消費税上の留意点
資産の譲渡又は貸付の判断は?
消費税においては、リース取引が資産の譲渡又は貸付の
いずれかに該当するかは、所得税や法人税の取扱いに
よることとなっています。
(消費税法基本通達5-1-9)
所得税および法人税においては、リース資産の引渡し時に
売買があったものとして賃貸人または賃借人の所得金額の計算を
することとされています。
(所得税法67条の2第1項、法人税法64条の2第1項)
したがって、消費税においても同様の取扱いになり、
売上(賃貸人)や経費(賃借人)の金額は、リース料総額になるということになります。
仕入税額控除の時期
原則:リース資産を購入した時に全額計上する
例外:賃貸借処理の場合には、分割控除してもよい
原則的には、売買取引になるので、通常の固定資産と同様に
購入金額全額に対応する消費税の控除をリース資産の引渡し時に
受けるということになります。
(消費税基本通達11-3-2)
これは、賃貸借取引をしていても同様になります。
しかし、国税庁質疑応答事例により例外として、
所有権移転外リース取引について、賃借人が賃貸処理取引をしている場合には、
リース料の支払いの都度、支払ったリース料に対する分割控除をしても
良いこととになりました。
仕訳例
前提:リース期間5年、リース料総額540万円
売買取引の場合(リース資産の引取り時)
(借方)リース資産500万円(貸方)リース債務540万円
(借方)仮払消費税 40万円
賃貸借取引の場合(分割控除の場合)
リース資産の引取り時 仕訳なし
毎月のリース料支払い時
(借方)リース料83,333円(貸方)普通預金90,000円
(借方)仮払消費税 6,667円
税率改正があった場合の注意点
それでは、今後10%への消費増税があるので、
増税がされた場合には、上記のリース取引の分割控除の処理は
どうなってしまうのでしょうか?
実務上のありがちな処理ミスとしては、
(借方)リース料81,818円(貸方)90,000
(借方)仮払消費税8,182円
という風に、消費税10%に基づいての処理をしてしまう
ミスがあります。
消費税が増税されたとしても、処理は、8%の時と
変わりません。
そうでないと、増税された時だけ、分割控除の方が
有利となってしまうからです。
これは、5%から8%への増税時も同様で、
5%時代の賃貸借取引があるのであれば、
当然のごとく、5%分の控除しか認められません。
簡易課税から原則課税に移行した場合等の取扱い
リース取引の質疑応答事例では、以下の様な場合も、
仕入税額控除をしてもよいとの判断になっています。
(1)リース1年目に簡易課税→2年目から原則課税
(2)リース1年目に免税→2年目から課税で原則課税
参考サイト
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/16/23.htm
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