給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除
給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除とは?
今回は2021年4月1日から
2022年3月1日までの間に開始した
事業年度分について解説します。
特別控除を簡単に説明すると
当期の支給した給与が前期よりも
増やされた場合には増やされた金額の
15%分の法人税が減額されます。
要件は次のようになっています。
次の1および2の要件を満たすこと。
1 国内雇用者(注1)に対して給与等を支給すること。
2 (雇用者給与等支給額(注2)-比較雇用者給与等支給額(注3))/比較雇用者給与等支給額≧1.5パーセント
※ 比較雇用者給与等支給額が0である場合には、要件を満たさないものとされます。
(注1)国内雇用者とは、法人の使用人(その法人の役員と特殊の関係のある者等の一定の者を除きます。)のうちその法人の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者をいいます。
(注2)雇用者給与等支給額とは、法人の適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。ただし、その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額(国または地方公共団体から受ける雇用保険法第62条第1項第1号に掲げる事業として支給が行われる助成金その他これに類するものの額(以下「雇用安定助成金額」といいます。)を除きます。)がある場合には、その金額を控除します。
(注3)前事業年度における雇用者給与等支給額をいいます。
かいつまんで説明すると
当期の従業員に支給した給与が
前期の従業員に支給した給与
よりも1.5%以上増えることが
要件になります。
税額控除の計算は次のようになります。
税額控除限度額は、次の算式により計算します。
税額控除限度額=控除対象雇用者給与等支給増加額(注1)×15パーセント
(注1)控除対象雇用者給与等支給増加額とは、法人の雇用者給与等支給額(※1)からその比較雇用者給与等支給額(※1)を控除した金額をいいます。
ただし、その金額がその法人の調整雇用者給与等支給増加額(次の1の金額から2の金額を控除した金額をいいます。)を超える場合には、その調整雇用者給与等支給増加額とされます。
1 雇用者給与等支給額(※2)
2 比較雇用者給与等支給額(※2)
(※1)雇用安定助成金額がある場合でも、雇用安定助成金額を控除しないで計算します。
(※2)雇用安定助成金額がある場合には、雇用安定助成金額を控除して計算します。
なお、この税額控除限度額が、その適用年度の調整前法人税額の20パーセント相当額を超える場合には、その控除を受ける金額は、その20パーセント相当額が限度となります。
かいつまんで説明すると
増えた給与の15%が法人税を
減額することになりますが
減額される金額の上限は納付する
法人税の20%までになります。
こうすれば間違いない給与等の集計方法
給与の概念は要件の判定と
税額控除の金額とでは
給与の範囲が異なります。
要件の判定では
雇用者給与等支給額は
当期に従業員へ支給した
給与になりますが
雇用安定助成金などの給与に
充てるため国等から受け取った
金額を控除します。
比較給与等支給額も同じ
計算を行います。
税額控除は
雇用者給与等支給額は
雇用安定助成金を控除しない
金額になります。
しかし比較給与等支給額は
雇用安定助成金を控除して
計算した金額になります。
このように要件の判断と
税額控除計算上の金額では
言葉は同じですが金額の範囲が
異なるところを注意して集計すれば
問題なく適用が可能になります。
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