給与と賞与の源泉所得税(令和3年分)の計算方法を税理士が解説!
給与の源泉所得税の計算方法
給与の源泉所得税は
国税庁が公表している源泉徴収税額表に当てはめて
計算するのが一般的なやり方です。
他の方法もあるのですが今回は
源泉徴収税額表にて計算する方法を
解説します。
給与から源泉徴収する場合には
月額表と日額表をそれぞれ使います。
次のように月額表と日額表は支給区分があります。
税額表の区分 | 給与等の支給区分 |
月額表 | (1)月ごとに支払うもの (2)半月ごと、10日ごとに支払うもの (3)月の整数倍の期間ごとに支払うもの |
日額表 | (1)毎日支払うもの (2)週ごとに支払うもの (3)日割りで支払うもの |
この様に月額表と日額表は支給区分ごとに
使う表が異なります。
さらに月額表と日額表には「甲欄」と「乙欄」があり
甲欄は扶養控除等申告書を提出している人に適用し
乙欄は甲欄ではない人に適用します。
注意点は日雇賃金です。
日雇賃金は日額表の「丙欄」を使って源泉徴収します。
日雇賃金は原則「丙欄」となりますが
例外として同一の事業主から継続して
2カ月を超えて給与等が支給された場合には
2カ月を超えた部分から日雇賃金になりません。
したがって、月額表又は日額表の「甲欄」又は
「乙欄」にて金額を計算することになります。
源泉所得税の求め方は次のようになります。
月額表を前提に解説します。
その月の総支給額ー社会保険料等にて計算した金額を
源泉徴収税額表の
「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」
に当てはめて源泉徴収金額を求めます。
「甲欄」の場合には扶養親族の数が加味された
源泉徴収税額になっていますので交わるところを
見間違えることのないように注意します。
実務上で間違いが起こりやすいのが
月額表の「乙欄」で
「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が
88,000円未満だと源泉徴収税額をないものとして
計算してしまうミスです。
月額表の「乙欄」を確認すると
3.063%を乗じて計算する記載があります。
乙欄は支給額に関係なく必ず源泉徴収する
という理解をしておくとよいと思います。
賞与の源泉所得税の計算方法
実務上で賞与の源泉所得税の計算について
ご質問を受けることがあるので解説します。
令和3年分の源泉徴収税額表の15ページの下部に
計算方法が載っています。
基本的には「甲欄」の人を前提にして確認をします。
①扶養親族になる人の数を確認する
②賞与を支給する前月の給与等において
前月の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」を
確認します。
③②の金額を①の扶養の数に対応する金額に当てはめます。
④③で当てはめた金額に対応する賞与の金額に乗ずべき率を求めます。
⑤(賞与の総支給額-社会保険保険料等)×④の率=源泉徴収税額
となります。
文章だと分かりにくいと思いますので
具体的な金額を基に計算してみます。
前提
・賞与の総支給額100万円
・賞与の社会保険料等15万円
・賞与の支給日2月末日
・1月分の給与の総支給額40万円
・1月分の社会保険保険料等8万円
・扶養親族はなし
上記を先ほどの①~⑤に当てはめてみます。
①扶養親族の数はゼロ人
②400,000-80,000=320,000円
③②に対応する区分は
扶養親族0人で300千円以上から334千円未満の列
④③に対応する賞与に乗ずべき率は8.168%
⑤(1,000,000-150,000)×8.168%=69,428円
この様に計算して賞与の支給のときに
源泉徴収税額を天引きします。
源泉所得税の天引きを間違えた場合
実務上で起こるミスとしては
源泉所得税の天引きを間違えるミスです。
金額を少なく計算して徴収してしまった
金額を多くして徴収してしまった
この様な間違えが発生する必要があります。
事業主側が選択することができることは
以下の2つになります。
①翌月分の給与の支給で調整する
②期中では調整しないで、年末調整で精算する
事業主の側での実情に応じて選択していただければと思います。
私が関与先に回答するのであれば年末調整で精算されるので
それでよいのではないでしょうか?ということです。
つまり、期中では調整しないで年末調整で計算して
差額にて調整というのが最も楽な選択だからです。
ただデメリットもありまして
少ない金額を徴収して、年末調整で精算すると
年末調整では還付にならずに徴収になる可能性あります。
徴収にならなくても還付金額が例年よりも
少なくなる可能性があります。
こうしたことを従業員から説明を求められる
可能性があります。
年末調整での説明が面倒ということであれば
期中で調整をしていくほうがよいかもしれません。
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