新型コロナウィルス感染症で解雇予告手当や休業手当を支給した場合
解雇予告手当と休業手当とは?
新型コロナウィルス感染症により
事業をやめようとする場合に
残っている従業員に解雇予告手当を支払って
やめてもらうことがあります。
また事業が休業を余儀なくされて従業員に
休業手当を支給することがあります。
労働基準法上では解雇予告手当は賃金ではなく
休業手当は賃金と考えられています。
解雇予告手当と休業手当は
それぞれ平均賃金で計算することになりますが
その発生した日が労働基準法上では決まっています。
解雇予告手当は労働者に解雇の通知をした日
休業手当は休業最初の日となっています。
解雇予告手当と休業手当は
平均賃金を基に計算します。
この場合の平均賃金という概念は
次のように計算します。
①算定すべき事由の発生した日以前3カ月間に
支払われた賃金の総額
②算定すべき事由の発生した日以前3カ月間の総日数
③①÷②=平均賃金
因みに、算定すべき事由の発生した日以前3カ月とは
算定事由の発生した日の前日から遡る3カ月間です。
もう一つ注意点があって
上記の3カ月間の期間について賃金の締め日があれば
算定事由発生の直前の賃金の締め日から起算します。
例えば、賃金の締め日が毎月15日で合って
算定事由発生日が9月19日であれば
9月15日から3カ月間として遡ります。
解雇予告手当と休業手当の所得税
解雇予告手当を事業主が支払った場合には
所得税法上では、退職所得として扱われます。
休業手当は、所得税法上、給与所得になり
休業手当と似て非なる休業補償は非課税となります。
実務上注意が必要となるのは
解雇予告手当です。
理由は、退職所得に該当するからです。
退職所得は次の2つの計算方法があります。
①退職所得の受給に関する申告書の提出がある場合
(退職金の金額ー退職所得控除)×1/2=退職所得
②①の申告書が提出されていない場合
退職金の金額×1/2=退職所得
解雇予告手当は直近の賃金の3カ月平均に近い
金額となりますので多額になることはまれだと思います。
そうなると退職所得控除を受けることで
従業員は無税で退職金を受け取ることができます。
退職所得控除は最低でも80万円です。
退職所得の受給に関する申告書を
書いてもらう方がメリットがあるといえます。
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