TAX

【建設業】税制の優遇では所得拡大促進税制の適用を受けることを目指す


所得拡大促進税制とは?

所得拡大促進税制とは従業員に給料等を支給して

一定の適用要件に該当した場合には一定の税額控除を

受けることができる制度です。

 

建設業では人で事業が動いていること

社会保険の加入が建設業許可に必要であること

といったことから所得拡大促進税制の適用を

考えることが多いと思います。

 

 

建設業で所得拡大促進税制を目指す理由

建設業で所得拡大促進税制の適用を目指す理由は

前期と当期の給料を比較して一定の増加をした場合には

その増加分だけ税額控除を受けることができるからです。

 

昨今、人手が不足して人件費が少しずつ上がって行き

給料が増えていく傾向に建設業はあります。

 

人件費が増えた場合にはその増えた分に対して

税額控除の適用を受けることができますので

現在の建設業が置かれている状況にあった

税制優遇措置です。

 

 

所得拡大促進税制の要件とは?

所得拡大促進税制の適用を受けるためには要件が必要です。

その要件を分けて解説します。

 

適用対象の法人

適用対象の法人は、中小企業者又は農業協同組合で、青色申告書を提出する法人です。

 

 

適用対象年度

平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間に開始する事業年度

ということになっています。

 

対象となる人と給料

国内雇用者に対して給料等を支給する場合です。

 

国内雇用者とは従業員で労働基準法第108条に規定する

賃金台帳に記載された者を言います。

つまり、従業員です。

 

給料は所得税法第28条1項に規定する給料等をいうのですが

要するに給料や賞与など源泉所得税の対象となる給料です。

 

 

金額の要件

次の(1)と(2)の要件を満たしている必要があります。

(1)雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額

・雇用者給与等支給額とは

適用年度(当期)の損金に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額で
給料等に充てるため他のものから支払いを受けた場合にはその金額を控除した
金額のことです。

要するに、当期に損益計算書や製造原価報告書に計上した

従業員の給料や賞与を言います。

 

・比較雇用者給与等支給額とは

前事業年度の損金に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額のことです。

要するに、前期の損益計算書や製造原価報告書に計上した

従業員の給料や賞与を言います。

 

(2)次の割合が1.5%以上であること

①継続雇用者給与等支給額ー継続雇用者比較給与等支給額

②①÷継続雇用者給与等支給額

因みに、継続雇用者給与等支給額がゼロの場合には

要件を満たさないものとされます。

 

・継続雇用者給与等支給額とは

継続雇用者(法人の適用年度及び前事業年度等の期間内の各月においてその法人の
支給を受けた国内雇用者として一定のものをいいます。)に対する適用年度の給与等を言います。

要するに、当期に継続雇用者に支給した給料や賞与を言います。

注意点は、継続雇用者とされる国内雇用者は一般被保険者に該当するものに

限られるという点です。

 

一般被保険者とは雇用保険法に定める一般被保険者で

一般被保険者となる従業員は、高齢者継続被保険者と短期雇用特例被保険者

日雇労働被保険者以外の従業員ということになります。

 

つまり、無期雇用の正社員で65歳に達しない従業員が

一般被保険者ということになります。

 

・継続雇用者比較給与等支給額とは

法人の継続雇用者に対する前事業年度の給与等の支給額を言います。

要するに、前期の継続雇用者に支給した給料や賞与となります。

 

税額控除の計算

(雇用者給与等支給額ー比較給与等支給額)× 15%

 

ただし、上記の計算の金額が

法人税額(別表1の「2」)の金額の20%以上

となった場合には、

 

法人税額×20%で税額控除の金額が計算されることになります。

 

 

公式ブログはこちら(平日毎日更新中)

 

この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき

書かれています。法令に改正があった場合には、現在の

取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。