教育資金の一括贈与と結婚子育て資金の一括贈与どちらが相続税対策になるのか?
相続税対策としての一括贈与制度の結論
相続税対策として、教育資金と結婚子育て資金では
どちらが有利なのかというと、教育資金の一括贈与です。
理由は、教育資金の一括贈与だと贈与した金額が
非課税となっている限度額1,500万円まで相続税の対象とならないからです。
対して結婚子育て資金の一括贈与は、相続税の対象となる
金額が出てくる場合があります。
また、場合によっては、他の生前贈与を相続税に加算する
生前贈与加算という制度にも影響します。
確かに、一括贈与は非課税の範囲内であれば、贈与税が非課税となり
相続税の対象とならないものも出てきますが、使い方を誤ると
かなり大変なことになる場合があります。
(租税特別措置法70条の2の2、同法70条の2の3)
教育資金と結婚子育て資金の比較
以下は制度上の比較をしてみます。
制度 | 教育資金の一括贈与 | 結婚子育て資金の一括贈与 |
適用期間 | 平成25年4月1日~ 平成31年3月31日まで | 平成27年4月1日~ 平成31年3月31日まで |
対象の人 | 30歳未満の子・孫など | 20歳以上50歳未満の 子・孫など |
非課税金額 | 1,500万円 | 1,000万円 |
ざっくりとした比較だとこの様になります。
現状としては、まだ非課税の適用期間内ですので、どちらも使えます。
基本的には、信託銀行等へ行って信託として適用していくのが
一般的なスタイルですし、その方が面倒な手続きをせず、かつ、
適用漏れになることはありません。
参考サイト
No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
ワンポイントアドバイス!
相続が差し迫っている場合であれば、教育資金の一括贈与は相続税対策になりえます。
というのは、30歳未満の孫に贈与してしまえば、1,500万円は非課税になるからです。
相続税の計算に取り込まれることもありません。
ただ、30歳未満の孫が何人かいた場合には、争族に発展してしまう可能性があるので、
親族間の調整は必要だと思います。
受贈者(お金をもらう人)が持っている非課税の枠が1,500万円ということなので、
1,500万円まで満額を教育資金として贈与する必要もないわけです。
例えば、3人の30歳未満の孫がいたとしたら、
300万円ずつ支出したとしても900万円になります。
この様な親族格差を生まない方法でも教育資金は使えます。
この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき
書かれています。法令に改正があった場合には、現在の
取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。