グループ法人税制における完全支配関係とは?
グループ法人税制とは?
平成22年度税制改正により、グループ法人税制が創設されました。
これは、グループ法人の一体経営へ税制を適用する仕組みです。
適用対象者は完全支配関係のある法人に適用されます。
グループ法人税制の適用に関しては、
次の項目からなります。
1.支配関係・完全支配関係
2.資産の譲渡取引等
3.寄附金課税
4.現物分配
5.受取配当等の益金不算入
6.株式の発行法人への譲渡に係る損益
7.中小企業向け特例措置の見直し
上記は、100%グループ法人内の取引が対象です。
参考サイト
完全支配関係とは?
完全支配関係の前に、支配関係から確認します。
1.支配関係
次の2つの関係を言います。
①当事者間の支配関係
1つの者(1つの法人又は個人を言います。なお、一の者が個人である場合には、
その個人及びこれと特殊の関係のある個人を言います。)が
他の法人の発行済株式又は出資(発行済株式と言います。)の50%超を
直接又は間接に保有する関係を言います。
具体的には以下の図になります。
②法人相互の支配関係
1つの者との間で上記①(当事者間の支配関係)がある法人間の
相互関係を言います。
具体的には以下の図の法人Aと法人Bの関係になります。
それでは、完全支配関係はというと、支配関係の応用となります。
2.完全支配関係
①当事者間の完全支配関係
一の者が法人の発行済株式等(出資を含み、自己が保有する自己の株式
又は出資を除きます。)の全部を直接(直接完全支配関係と言います。)
若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(当事者間の
完全支配関係)。
具体的には、次の図になります。
②法人相互の支配関係
一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係
以下の図の法人Aと法人Bの関係になります。
それでは、上記の支配関係に出てきた1つの者とは何でしょうか?
具体的には、個人や外国法人が含まれており、同一の外国法人
のそれぞれの子会社、さらには同一の個人(同族関係者を含みます。)
にそれぞれ100%保有されている内国法人も「完全支配関係」に
含まれることになります。
上記で紹介した図は例示の一つですので、
他にも複雑な個人・法人相互の関係が
考えられますので、判断にあたっては、
慎重に行ってください。
(法人税法2条12号の7の5~6、
法人税法施行令4条の2)
ワンポイントアドバイス!
実務上のアドバイスとしては、
完全支配関係や支配関係は個人や外国法人にも
適用されるということになります。
ただし、実際のグループ法人税制のうち、内国法人間の
取引として適用されるのは、
1.資産の譲渡取引等
2.寄附金課税
3.現物分配
4.受取配当等の益金不算入
5.株式の発行法人への譲渡に係る損益
ということになります。
中小企業向け特例措置の適用除外は、株主が内国法人、
外国法人で違いはありません。
この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき
書かれています。法令に改正があった場合には、現在の
取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。
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