事業承継でも消費税がかかる場合がある
事業承継に関する消費税の考え方
事業承継に関する消費税の考え方として、
事業承継は基本的には消費税の対象と
なりません。
ですが、事業承継とはいっても実際には
事業の売買といった承継については、
消費税の対象となります。
実際には以下の様になります。
事業承継 | 消費税の取扱い |
事業譲渡(営業権) | 課税取引 |
現物出資 | 課税取引 |
会社分割 | 不課税取引 |
合併 | 不課税取引 |
現物分配 | 不課税取引 |
以上の様になります。
現物分配以外は、会計上は会社を売買する
という処理になりますが、消費税では、
営業権と、現物出資のみが課税取引に
なることになります。
ワンポイントアドバイス!
上記の消費税の取扱いは、会社を売買する
ときに消費税の処理をどうするのか?
という判断になります。
消費税の納税義務の判断とは違います。
消費税の納税義務の判断は会社の引継先
での判断がどうなるのかということ
になるので、注意が必要です。
(消費税法2条1項8号、
消費税法施行令2条1項2号、4号)
消費税がかかる営業権は要注意!
営業権は、包括承継という全部受入れの
事業承継とは異なり、事業譲渡という
分野になります。
実務上では事業の一部の譲渡という
ことになり、その事業を売買する
という取引です。
ここで、消費税では事業譲渡は資産の譲渡等
ということになりますので、消費税の課税対象と
なるということになります。
この資産とは取引の対象となる取引一切の
資産を言うこととなります。
例えば、棚卸資産、固定資産、権利といった
無形固定資産も含まれることになります。
また、消費税の課税対象となる事業譲渡に
なるのですが、資産ごとにその後、
非課税取引、免税取引、課税取引に
分けての処理となります。
例えば、国外の資産であれば、
国内取引ではありませんから、
消費税はかかりません。
土地については、非課税になります。
したがって、非課税となります。
(消費税基本通達5-1-3)
具体的な処理についてはどうするの?
実際の営業権の処理をやってみようと
思います。
例示取引(受入側)税抜処理
資産内訳 土地10億円、固定資産5億円
営業権8億円、売掛金4億円
負債内訳 借入金2億円
支払対価25億円
(借方) (貸方)
土地1,000,000,000 借入金200,000,000
固定資産462,962,963 現預金2,500,000,000
営業権740,740,741
売掛金400,000,000
仮払消費税等96,296,296
結論としては、上記の様になります。
実際には、土地、売掛金、借入金は
消費税の対象となりませんので、
固定資産と営業権だけに消費税が
発生することになります。
ですので、固定資産と営業権を
税抜にすると、上記の金額となります。
売却側については、受入側の反対の
処理になることになります。
ここで注意点は、売掛金は非課税売上を
構成しますが、課税売上割合の計算上は、
譲渡代金に5%をかけたものを
分母に算入することになります。
(消費税法施行令48条5項)
参考サイト
この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき
書かれています。法令に改正があった場合には、現在の
取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。