建設業での消費税の有利不利判定を解説
消費税の有利不利判定とは?
消費税の有利不利判定をする前に
消費税の計算方法を知らないと有利不利を判断できません。
ここでは、消費税の計算方法とどのような有利不利が
存在するのかを解説します。
消費税の計算方法
消費税の計算方法には
「本則課税(原則課税とも言います)」
と
「簡易課税」
があります。
本則課税の計算方法は
預かった消費税ー支払った消費税
で計算します。
預かった消費税とは、収入で得た消費税です。
建設業だと元請や上位の業者に請求した売上金で
預かった消費税となります。
支払った消費税とは
経費で支払った部分のうち消費税の部分です。
簡易課税の計算方法は
預かった消費税ー(預かった消費税×みなし仕入率)
で計算します。
消費税の有利不利とは?
消費税の有利不利判定の意味としては
本則課税と簡易課税、それぞれで計算した消費税で
どちらの計算の納付額が少なくなるのかという判断です。
例えば、
本則課税の消費税が100万円
簡易課税の納付額が80万円
ということであれば
簡易課税が有利という判断ができます。
建設業における有利不利判定とは?
建設業における有利不利を行ってみます。
建設業での有利不利判定で重要なのは人件費です。
理由は、人件費を支払っても支払った消費税が
出てこないからです。
人件費とは、支払った給料と社会保険の合計です。
建設業の本則課税の概算額
本則課税では、概ね、人件費以外の経費について
支払った消費税として認識します。
結論として次のように本則課税での消費税を
概算で計算することができます。
人件費÷年商(その年・事業年度の売上)=人件費割合
この人件費割合以外の割合が消費税を支払った金額となります。
そして、次のように計算することになります。
①100%-人件費割合
②年商ー(年商×①)
③②×10%=消費税の納付額
というように計算してみてください。
有利不利判定をするときを想定すると
基本的には来期以降の消費税について考えるので
概算での計算となります。
簡易課税での概算額
建設業の簡易課税では、事業区分が第三種事業、第四種事業に
該当することが多いです。
本来は売上を第三種事業と第四種事業に分けて
それぞれのみなし仕入率をかけることで
支払った消費税を計算するのですが
来季の売上を考えるとどの程度、それぞれの売上が
発生するのか不明となります。
そこで、平均値のみなし仕入率を計算して概算額を出します。
第三種事業のみなし仕入率は70%
第四種事業のみなし仕入率は60%
です。
こちらを平均すると
(70%+60%)÷2=65%
というみなし仕入率を計算することができます。
そして次のように計算します。
①年商×65%=経費に対応する金額
②年商ー①=消費税の課税対象の金額
③②×10%=消費税の納付額
最終的に、上記で計算した消費税の納付額の概算金額で
より少なくなる方を選択することになります。
数字を入れて概算額を計算する
前提
年商4,000万円、人件費1,800万円
金額は、当期の金額を基にすることで
より実際の納付額に近くなります。
当期の数字が固まっていない場合には
前期の数字でも良いかと思います。
数字として必要なものは、年商と人件費です。
来季の数字により近いものを使うことで
精度の高い消費税の概算を計算することができます。
本則課税の概算額
1.人件費割合の計算
1,800÷4,000=45%
2.消費税の概算額
①100%-45%=55%
②4,000-(4,000×55%)=1,800
③②×10%=220万円(消費税の概算額)
簡易課税の概算額
みなし仕入率の平均額65%
①4,000×65%=2,600
②4,000-①=1,400
③②×10%=140万円(消費税の概算額)
有利不利の判断
本則課税の金額:220万円
簡易課税の金額:140万円
220万円>140万円 ∴140万円
簡易課税の方が有利ということになります。
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