所得税

新人経理担当者のための年末調整実務


年末調整とは

年末調整とは給与所得者の源泉所得税を

会社や事業主が精算を行う税務手続きです。

 

以下で計算方法を書きますが

給料収入だけを取り出して年間の所得税を確定し

月給から天引きしていた個々人の源泉所得税を

控除することで還付又は徴収となります。

 

従って、会社や事業主が従業員に代わって

確定申告で計算していることと同じです。

 

現実には確定申告するので

年末調整は不要ですと言われる場面

 

年末調整が必要なのにパート、アルバイトだから

年末調整を行わないといった場面があります。

 

理論的には上記のような対応は間違っていて

年末調整の対象となる場合には年末調整し

税額を確定することになります。

 

年末調整で収集する資料とは

年末調整で収集する資料を解説していきます。

 

法定資料3つ

・扶養控除等異動申告書

・配偶者控除申告書

・保険料控除申告書

 

上記のうち必ず提出することになるのは

扶養控除等異動申告書だけです。

 

なぜなら月給から控除する源泉所得税の判断に

影響するからです。

 

実務上では2か所で働いていることがあります。

例えばフリーターの人たちです。

 

扶養控除等異動申告書は主で働いているところに

提出することになります。

 

配偶者控除申告書と保険料控除申告は

適用を受けることがないのであれば

提出の必要はありません。

 

個人情報で収集が必要な資料

人に関する資料

・従業員本人のマイナンバー

・従業員本人を証明する書類

・海外に扶養親族がいる場合は家族関係証明書

・海外の扶養親族ごとへの送金明細書

 

マイナンバーと本人証明書は

マイナンバーカードのコピーで事足ります。

 

もしマイナンバーカードが無い場合には

通知カードのコピー+写真付きの身分証明書です。

 

通知カードも無い場合には

マイナンバー入りの住民票+写真付きの身分証明書です。

 

海外の親族を扶養親族として扶養控除を受ける場合

家族関係証明書+親族ごとへ送金明細が必要です。

 

両方とも日本語に直されたものになりますので

日本語にして提出してもらってください。

 

送金明細は必ず扶養親族ごとに送金した事実を

証明できるものにしていください。

 

例えば父と母が一緒に住んでいるからと言って

父だけに送金して母も扶養控除を受けたいと言っても

条文をそのまま適用すると母では扶養控除を

受けることができません

 

保険料関係

・生命保険料控除証明書

・地震保険料故徐証明書

・社会保険料控除証明書

・その他控除証明書

 

保険関係は控除証明書が保険会社などから

ご本人宛に届きます。

 

毎年10月には届きますので

従業員には無くさないようにアナウンスして

置くことをお勧めします。

 

近年iDECOを筆頭に色々な社会保険料控除が

出てきました。

 

基本的には控除証明書が発行されますので

控除証明書で適用していきます。

 

その他

上記以外では住宅ローン控除のための

住宅借入金の年末残高証明書と

住宅ローン控除を計算する計算表です。

 

あとは転職してきた従業員からは

前職の源泉徴収票も預かります。

 

源泉徴収票は年度を必ず確認しましょう。

今年は2019年(平成31年又は令和元年)です。

 

たまに前年の源泉徴収票を持ってくる

従業員がいますので、年度には注意です。

 

年末調整の計算方法

年末調整の計算方法を解説していきます。

年末調整では一人別源泉徴収簿があると楽です。

 

まずその年の給料の総支給額

天引きした社会保険の総額、源泉所得税の総額を

従業員ごとに集計していきます。

 

それで給与所得を計算することになります。

給与所得の計算は次のようになります。

 

給料の総支給額ー給与所得控除=給与所得

 

給与所得控除は給料の総支給額により変わります。

給与所得控除の計算表で確認してみましょう。

 

表では給与所得控除後の金額が一覧表となって

給与所得の計算が自動的にできるようになっています。

 

次は控除する金額を計算していきます。

基本的には以下の金額を計算していきます。

 

・生命保険料控除

・地震保険料控除

こちらは一定の計算式によって計算していきます。

 

・社会保険料控除

こちらは支払った金額のものを控除します。

 

・配偶者控除又は配偶者特別控除

・扶養控除

従業員の家族の状況によって異なります。

基本は一人38万円となっていますが、

 

年齢によっては金額が異なりますので

金額の確認を行っていきます。

 

こうして次のステップの金額を計算します。

給与所得控除後の金額ー上記の控除する金額=課税標準

 

課税標準が出たら一定の所得税の計算を行い

所得税の年税額を計算します。

 

次に住宅ローン控除の金額を計算して

所得税の年税額ー住宅ローン控除の金額=所得税

となり・・・

 

所得税ー月給から天引きした源泉所得税の総額

=-金額であれば還付、+金額であれば徴収となります。

 

 

 

 

 

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この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき

書かれています。法令に改正があった場合には、現在の

取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。