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売上の計上基準は明確になっていますか?(法人編)


売上の計上基準って?

売上の計上基準とは、企業会計原則という

会社の会計の指針で決まっています。

 

大枠として以下の様になっています。

 

大原則として・・・

実現主義というルールがあって、

その下に、出荷基準等がついている

というイメージです。

 

これ以外にも建設業は、

工事進行基準や工事完成基準で

売上を計上することが認められています。

 

これを踏まえて・・・

今度は法人税のルールについて

見てきたいと思います。

 

 

 

法人税の収益の計上基準とは

法人税の収益の計上基準は、

原則が以下の様になっています。

「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上
当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、
別段の定めがあるものを除き、資産の販売、
有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、
無償による資産の譲受けその他の取引で
資本等取引以外のものに係る当該事業年度の
収益の額とする。」
(法人税法22条2項)

要するに、別に定めるものを除いて、

その事業年度の収益の額とする

ということになります。

 

したがって実務上、

会計上の収益=法人税の収益という

ことになります。

 

これだけでは、良くわからないので、

通達という国税庁の内規に詳しく

ルールが公表されています。

 

1.棚卸資産による収益

2.請負による収益

 

上記の内容を見てみると、どうやら

商品のような棚卸資産の販売は、

出荷基準になります。

 

請負のような建設やサービスの提供は、

完成基準になります。

 

それでは、上記以外の計上基準が

認められないのか?

というとそういうわけではありません。

 

納品基準や検収基準をとっても

構わないのです。

 

「当該事業年度の収益の額は、

一般に公正妥当と認められる会計処理の

基準に従つて計算されるものとする。」
(法人税法22条4項)

という規定が存在するので、

企業会計原則に定められている収益基準は

法人税でも認められています。

 

ただ、工事進行基準については、

法人税の計算上、計算方法が決まって

いますので注意が必要です。
(法人税法64条)

 

たまに工事進行基準は中小企業では

適用できないと勘違がありますが、

法人税法64条2項にて、金額要件が

ない工事についても工事進行基準で

経理するとありますので、

工事進行基準を適用できます。

 

 

 

ワンポイントアドバイス!

私が実務でヒヤッとした場面があります。

それは、売上と外注費の相殺です。

 

問題となる税目は消費税です。

消費税では、収益と経費の相殺はできません。

なぜかと言うと、収益と経費を相殺して

しまうと、消費税の納税義務の判断に

影響があるからです。

 

実際の取引としては以下の通りです。

上記で問題となるのが、

当社では、経理処理を何もしていない

場合があるので、消費税の売上に、

上記の例示では、100万円を含んでいない

ことになるのです。

 

この100万円は消費税の売上に含めなくては

なりませんので、消費税の納税義務の判断に

含まれることになります。

 

実際に、会社で経理処理をしている場合には、

計上しなくても問題ないという判断が

行われる可能性がありますので、

注意が必要です。

 

 

この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき

書かれています。法令に改正があった場合には、現在の

取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。