事前確定届出給与(特定の役員のみ届出額どおり支給しなかった場合)
事前確定届出給与とは?
事前確定届出給与とは・・・
いわゆる役員への賞与支給のことです。
法人税では、役員への給与は、
決まった方法で支給しないと
経費として認めてくれません。
そのうち、役員賞与も同様に
支給方法が決まっています。
では、どのようにすれば、
役員賞与を経費にできるのか?
ということですが、
1.提出資料
事前確定届出給与に関する届出書
2.提出期限
定時株主総会から1カ月以内
新設法人は設立以後2カ月以内
3.支給方法
届出書に記載した日、支給額で、
支給することになります。
上記をまとめると、
・提出時
届出書を提出期限までに提出
・支給時
届出書に書いた日にちに、支給額で
支給することになります。
例えば、業績がうまくいかなくて、
届出書には30万円としたけど、
20万円で支給したという場合には、
20万円全額が費用に認められません。
しかし、賞与に関する源泉所得税は
徴収して納付しないといけません。
ですから、かなり神経質になる必要が
あるということなのです。
参考サイト
(法人税法69条4項)
特定の役員のみ支給しなった場合
それでは、表題にあるような場合には
一体どうなるのでしょうか?
具体的には・・・
A役員:届出額50万円
B役員:届出額30万円
C役員:届出額25万円
このうち、A役員だけ30万円で支給し、
BとCには届出額通り支給した場合には
すべての役員への支給が経費にならないのか、
それともA役員のみ経費にならないのか
という疑問が出てきます。
答えとしては、A役員のみ経費を認めず
BとC役員は通常の役員賞与として経費に
なります。
これはなぜかというと・・・
事前確定届出給与の意義が、
「その役員の職務につき所定の時期に
確定した額の金銭(中略)を交付する
旨の定めに基づいて支給する給与で、
定期同額給与及び業績連動給与の
いずれにも該当しないもの」
となっているからです。
冒頭の「その役員の職務につき」が
ポイントです。
その役員となっていますので、
役員ごとにということになり、
役員全員ではないことから、
特定の役員の賞与のみ経費を
否認するということになります。
(法人税法34条1項2号)
ワンポイントアドバイス!
粗末な論点ですが・・・
以前、事前確定届出給与の記載方法で
税務調査にてもめたことがあります。
何かというと、
下記の赤丸のところです。
支給額となっているのですが、
これが総支給額を書くのか、
手取り額を書くのかということです。
実務書には、総支給額と書いてある
のですが、法律論的には、
総支給額でならないことは
明文化されていません。
手取り額で書いていたことで
修正申告を依頼されましたが(笑)
もちろん、突っぱねて、
修正申告なしになりました。
調べていくうちに分かったのですが、
事前確定届出給与が立法された当初、
事前確定届出給与の届出書は
今の様に公表されず、書式は
なかったようです。
税理士から要請されたので作成した
ということの様です。
税務職員からは税理士は代筆屋だ
と嘲笑されたそうですが・・・
私の様に粗末な論点でももめます。
届出書は慎重に記載して頂ければと
思います。
この記事は、この記事を作成してる時点の法令に基づき
書かれています。法令に改正があった場合には、現在の
取り扱いとは違った取り扱いになる可能性があります。
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